

えー、毎度。
馬鹿馬鹿しいお噺を、ひとつ。
さて、皆さん。
人の名前ってぇのは、
親の願いが込められてるもんでございまして。
丈夫に育て。
賢く育て。
長生きしてくれ。
そりゃあ、結構なことでございます。
ところが、ある親父。
めでたい名前をひとつに決められねぇ。
「どれも捨てがてぇ。
だったら全部つけちまえ!」
欲張りにもほどがある。
さて。
そのお名前ってぇのが……。
寿限無 寿限無
五劫の 擦り切れ
めでたい 言葉を
全部 乗せ
寿限無 寿限無
まだ あるかい
名前を 呼ぶだけ
日が 暮れる
長生き しなせぇ
幸せに なりな
願いは ひとつの
はずなのに
あれも これもと
詰め込んで
子供は 一人
名前は 何人分
和尚が ひとつ
めでたやと 言えば
親父は なるほど
そりゃ いいね
これも いいね
あれも いいね
削るに 削れぬ
親心
朝から 呼べば
お昼時
お昼に 呼べば
日が 沈む
隣の おかみが
呼んでみりゃ
半分 あたりで
ひと休み
「おーい」と 呼ぶにも
口が 足りねぇ
「はーい」と 答える
暇も ねぇ
坊主は とうに
駆け出して
親父の 声だけ
残された
寿限無 寿限無
五劫の 擦り切れ
呼べども 呼べども
まだ 来ねぇ
寿限無 寿限無
終わりゃ しねぇ
親父の 喉まで
擦り切れた
長生き しなせぇ
幸せに なりな
願いは 確かに
ありがてぇ
だけども ちょいと
長すぎらぁ
さてさて 騒ぎは
これからよ
ある日 横丁
子供の 喧嘩
「やい!」「なんでぇ!」
ひと騒ぎ
ぽかりと 拳骨
飛んでった
相手の おでこに
瘤 ひとつ
泣いた あの子が
駆け出して
大人の ところへ
飛んでった
「あいつが やった!」
と 言いたいが
名前を 言わなきゃ
通じねぇ
一遍 吸って
息 吐いて
一遍 吸って
また 吐いて
長い 長い
その 名前
いざ 言いかけて
口を 開く
大人は じっと
耳を 澄まし
坊主は ひとつ
息を 吸う
寿限無 寿限無
五劫の 擦り切れ
めでたい 言葉を
全部 乗せ
寿限無 寿限無
まだ 足りねぇ
名前を 呼ぶだけ
日が 暮れる
長生き しなせぇ
幸せに なりな
願いは 確かに
ありがてぇ
長い 長い
その 名前
さて この騒ぎの
オチは 如何に
寿限無寿限無、
五劫の擦り切れ、
海砂利水魚の水行末、
雲来末風来末、
食う寝るところに住むところ、
藪ら柑子の藪柑子、
パイポパイポ、
パイポのシューリンガン、
シューリンガンのグーリンダイ、
グーリンダイのポンポコピーの、
ポンポコナーの、
長久命の、長助!
……ところで。
瘤は、どうしたい?
「名前を言ってる間に、
引っ込んじまったよ!」
……お後が、よろしいようで。
- 作詞者
Liminal Reverie, shintaro
- 作曲者
Liminal Reverie
- プロデューサー
shintaro
- 共同プロデューサー
Liminal Reverie
- プログラミング
Liminal Reverie

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- ⚫︎
寿限無
Liminal Reverie
**寿限無 - Jugemu -**
「寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ……」
我が子の長寿と幸せを願うあまり、めでたい言葉をこれでもかと詰め込んだ、世にも長い名前。
呼ぶだけで日が暮れ、言い終わる頃には何もかもが手遅れに。
そんな古典落語の名作『寿限無』を、江戸の粋とユーモアを交え、Swing Boom Bapのリズムに乗せて現代風に再構築。
軽妙な落語の語り、遊び心あふれる女性ラップ、そして息つく暇もない高速の言い立て。
親の愛情から始まった長い名前が、やがて思いもよらぬ笑いを生み出していく。
古き良き日本の話芸と、現代のヒップホップが出会った一曲。
さてさて、この騒ぎのオチはいかに。
……おあとがよろしいようで。
アーティスト情報
Liminal Reverie
**Liminal Reverie(リミナル・レヴェリー)**は、 「現実と夢のあいだ」をテーマにした インストゥルメンタル・プロジェクト。 昼と夜のあいだ。 賑わいのあと。 現実と夢が、まだ分かれきらない瞬間。 そこに残る気配、余韻、空気を音にする。 和と洋、対になる二つの軸を持ち、 和:江戸lofi 洋:Liminal Reverie それぞれ異なる世界観で楽曲を制作している。
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