LONELINESS & SOLITUDEのジャケット写真

LONELINESS & SOLITUDE

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LINER NOTES by Zent Tanami

DIMEND(ディメンド)は埼玉発の一人メロディック・デスメタル・プロジェクトである。
2018 年に 1st ミニアルバム『Die in Despair』、デジタルシングル『Die to Feel Alive』を立て続けにリリース。往年のメロディックデスメタル(以下メロデス)の突進力とメロディックブラックメタル(以下メロブラ)の寒々しさが見事に融合された楽曲に一部のメタルファンの間で話題となった。今作に収録されている一部の楽曲は自身の YouTube チャンネル上でデモ版が公開されていたが、遂に 2022 年 4 月 24 日の同人音楽即売会「M3」にて 2nd ミニアルバム『LONELINESS & SOLITUDE』としてフィジカルでのリリースに至った。
ここで、DIMEND のメインコンポーザーである Hitoshi の略歴を記しておこう。先に2018 年に音源をリリースした過去を話したが、Web 上に楽曲を発表し始めた時期は 2013
年と意外にも活動歴自体は長い。自主制作 CD のリリースや先達バンドのサポートなどを経て、今日 DIMEND としての活動に至る。ギターの腕前も確かなもので、荒々しさと繊細さが同居するプレイングは聞く者の心を動かすだろう。YouTube にプレイスルー映像もあるので興味のある方は調べてみるといいだろう。マイフェイバリットバンドには Children of Bodom や Metallica をはじめ様々なバンドを挙げるが、ひとところに留まらず音楽ジャンルを聞いているのも音楽的素養の高さが窺い知れる。
音楽性は紛うことなき純度 100%のメロデス、それもモダン化する前の北欧の息吹感じる”あの頃”のメロデスである。これだけで一部のマニアにとっては垂涎ものだろう。しかしそれでは過去のメロデスをなぞるだけで芸のない代物となってしまう。DIMEND の音楽性は様々な音楽遍歴を重ねてきたからこそ生み出せる”温故知新型メロデス”といえよう。
再生した瞬間に脳天を貫くほどの殺傷力のあるギターリフは Dark Age や MyGrain などのモダンメロデスを彷彿とさせ、”#1. SILENT NIGHT”や各曲の随所に見られる悶絶級のギターメロディは Serpent(Veiled in Scarlet)や初期 Blood Stain Child の面影を感じてガッツ
ポーズしてしまうこと必至である。
そして DIMEND の音楽性で特筆すべきはアコースティックギターの美しい音色がフィーチャーされていることである。” #6. OUTRO(LONELINESS & SOLITUDE)”でもその美
麗さは顕著だが、DIMEND は過去に全編アコースティックの楽曲を制作していた過去を持つ(YouTube 上の” Spreading Sorrow”や”Autumn Dream”を参照)ため、叙情さを際立たせるにはもってこいの作風だと言えるだろう。むしろアコースティックとの相性の良さはメロブラに軍配が上がるため、メロブラ的要素の強い 1st ミニアルバム『Die in Despair』と今作を聞き比べてみるのも一興だろう(『Die in Despair』は YouTube で全編視聴可能)。またクリーンボイス皆無ながらも歌メロを意識するように叫ぶボーカルラインも聞きやすさの一助となっている。
寡作ながらも毎回しっかりとクオリティの高い楽曲を届けてくれる DIMEND がいち早く耳聡いメタルファンにその名を轟かせることを祈念せずにはいられない。きっと往年の
ファンのみならずライト層にも幅広く受け入れられることだろう。
writer: Zent Tanami