湯守 「はあ…はあ…はあ… やっと見つけましたよラドンさん…」
ラドン「しーっ、静かに。」
湯守 「ん?」
ラドン「ああ…もう…たった今、風たちが私の耳元で秘密を打ち明けようとしてくれていたのに……行ってしまいました。残念です」
湯守 「ああ、それはすみませんでしたね」
ラドン「代わりに湯守さんが秘密を打ち明けてくれません…?」
湯守 「どういう理屈!?」
ラドン「ふふ…冗談です、それで?」
湯守 「ああ!そうでした。湯を沸かして欲しいとコントロールセンターから指令です」
ラドン「そうですか…」
湯守 「有馬へお願いします。あと30分後には、ポート神社のほうへ…お願いしますね」
ラドン「んん…そうですねえ…」
湯守 「もう!聞いてますか!?ちゃんと行ってくれないと、僕が司令官から怒られるんですからね!?」
ラドン「ええ…わかりましたよ。ところで、あの湯気、今日は揺らめきがすこし多い。だれかの心が穏やかではないのでしょうか?」
湯守 「……もー!しりませんよ!タンソさんにも伝えてもらえますか?」
ラドン「タンソ。ふ、久しぶりですねえ…」
○廊下
(廊下を歩き、ドアをノック)
ラドン「開けますよ」
(しゅわしゅわと弾ける音)
タンソ「わ、びっくりした…。えっ、ラドンだぁ。どうして来たの?うれしいなあ」
ラドン「ふふふ、きみは相変わらず、かわいい」
タンソ「そう?最近、前髪の調子が悪くて、かわいくないの…」
ラドン「ちっとも変わりませんよ」
タンソ「そうかなぁ?」
ラドン「有馬へ行くそうです。ポート神社まで一緒に行きますか?」
タンソ「いくぅ!有馬かぁ。あとは誰が一緒だったっけ…」
ラドン「シオと…テツ…ですね」
タンソ「うぇ…テツぅ…。」
ラドン「?」
タンソ「ラドン…あのさ…テツこわいから… 一緒にいてね…?」
ラドン「ふふ…さすがにあの人でも、取って食いはしないですよ(笑)」
タンソ「うぅわかってるけど…」
○神社
シオ 「あーりま♪なーにが♪くーえるーかなー♪唐揚げあるかな、コーラもあるかなー」
(砂利の音)
ラドン「いつもお早いですね、シオ」
シオ 「お、ラドン! 久しぶりー。タンソも、げんきー?」
タンソ「うん、げんきだよ…」
シオ 「え?なに?なんか言った?」
タンソ「げんきって言っただけ(小声)」
シオ 「ん?きこえん!?」
ラドン「タンソは、久しぶりにシオに会えて嬉しいと言っていますよ」
シオ 「お!そうか!俺もうれしー️!俺、さっき考えてたんだけど、湯わかしたあとでさ、みんなでアスレチック行かない!?絶対たのしいよ!あ、もしちょっと怖いところあったら、オレ、ぜんぜん助けるし、心配しなくていいから!ね!いく…」
タンソ「いかない」
シオ 「えぇえ!?なんで?」
タンソ「こわいもん」
シオ 「じゃ、食べ歩きは?」
タンソ「すぐおなかいっぱいなる」
シオ 「観光地巡り」
タンソ「足が痛い」
シオ 「なんだよーじゃあ何する?てか足大丈夫?」
ラドン「優しいですねえ」
タンソ「んー・・・ぼーっとするとか。そういうのでいいよ」
シオ 「そんなのどこでもできるじゃんかよー」
タンソ「風情がないなあ」
シオ 「ん?なんか言った?」
ラドン「それにしても、シオは相変わらず美しいオレンジ色ですね。私の紫色と、シオのオレンジは、一緒にいるとお互いをとても美しく引き立ててくれる色で…」
(シオのお腹がなる)
シオ 「やっべぇ〜。もうおなかすいた〜」
ラドン「…ふふ。あなたには芸術よりも食べ物でしたね」
タンソ「くいしんぼうの風情なしマン…(小声)」
シオ 「あっ!今のは聞こえたぞ!?」
タンソ「ヒッ、なんでもないです…」
シオ 「はぁ…テツまだ来ないなあ」
タンソ「テツ…かぁ…」
ラドン「テツのなにがそんなにこわいんです?」
タンソ「まず、声が大きい。それから、笑い声が大きい」
ラドン「ふたつとも一緒ですね(笑)」
(砂利の音)
ラドン「あ、きましたね」
テツ 「よお、もう集まってたか…!悪い、遅くなっちまった」
ラドン「すん…すん…(匂いを嗅ぐ)テツ、香水を変えましたか?」
テツ 「おっ、さすが、わかってるね」
ラドン「ええ…。これは艶のある…アンバーですかね…。テツによく似合う」
テツ 「はっはっは。正解」
ラドン「それと、少し、日本酒の匂いも(ごほっ)」
(酒の瓶を開ける音)
テツ 「そうだ、酒が足りなくて湯守に頼んだんだが、残りは湯を沸かしてからだと抜かす。だから、食堂からかっぱらってきたんだ。飲むか?」
シオ 「俺は…いいや。酔っ払っちゃうし」
ラドン「私も、結構です」
テツ 「釣れないな… タンソはどうだ?いるか?」
タンソ「いらない(小声)」
テツ 「ん? 遠慮するな、のめ!はっはっは」
(酒を注ぐ音)
タンソ「いらないって言ってるのに…(小声)」
シオ 「さ、そろそろみんなでお参りするかー!」
テツ 「ああ、じゃあいっちょやるか」
(手を叩く参拝の音)
シオ、テツ、ラドン、タンソ「今日も湯(you)を沸かせますように」
タンソ「ちゃんと沸かせるかなあ…心配…」
シオ 「何言ってんだよ、絶対、大丈夫だって!みんなと一緒なんだから、へいきへいき」
タンソ「でも失敗したらどうしよう」
シオ 「んーーそのときは…」
テツ 「俺に任せろ…!あつく、あつく、あつく、燃え上がるように沸かしてやるよ…」
タンソ「ぼくのはそういうのじゃないんだけど…」
ラドン「タンソ。私もいるので大丈夫ですよ」
タンソ「ラドン、だーいすき…。がんばる…」
シオ 「じゃ、いくよー!みんな、離れ離れにならないでね。せーのっ」
- 作詞
おんせんし
- 作曲
おんせんし
おんせんし の“有馬ドラマトラック「出勤前」”を
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有馬ドラマトラック「出勤前」
おんせんし
泉質アイドルユニット「おんせんし」 第二弾は有馬温泉をテーマにした「有馬でアリガト♪」。有馬温泉にまつわるドラマトラックをお届けします。
出演:湯守・湧井源(CV.鵜澤正太郎)、塩化物泉・シオ(CV.土田玲央)、含鉄泉・テツ(CV.置鮎龍太郎)、放射能泉・ラドン(CV.羽多野渉)、二酸化炭素泉・タンソ(CV.増田俊樹)
アーティスト情報
おんせんし
おんせんしとは、合計10人で構成されるアイドルユニットのこと。10種類ある温泉の"泉質"から生まれたキャラクターで、音楽で「場を沸かし、湯を湧かす」をミッションに活動しています。温泉地ごとに泉質の組み合わせは変わるため、楽曲のメンバー編成も変わります。ソロ、デュエット、トリオ、グループなど、それぞれの温泉地ならではの組み合わせをお楽しみください。 「さあ、湯(YOU)をわかしにいくよ」
おんせんしの他のリリース