

スーパーを出たところで
空が一度だけ光った
少し遅れて届いた音が
建物の間を抜けていく
今年もこの季節が
来たことに気づいた
前は君と歩いた道を
今日は一人で曲がった
袋の中で桃が揺れて
信号はまだ赤だった
見える場所まで行こうとは
なぜか思えなかった
花火はもう
消えているのに
音だけが
あとから来た
音だけ残った
夏の夜に
君のいない空を
見上げていた
忘れたつもりの
声や仕草が
一発鳴るたび
近くなっていく
ベランダに出てみれば
隣の屋根が邪魔をして
花火の形は見えないまま
雲だけ少し明るくなる
去年の写真は
消してはいないけど
見返すほどの勇気もなく
奥の方へ流したまま
別れた理由なら
今でも説明できる
それでも夏になるたび
正しさが少し遠くなる
窓を閉めても
響いてきた
君を思い出すには
十分だった
音だけ残った
この街で
あの日の二人を
探していた
戻りたいわけじゃ
ないはずなのに
最後の花火を
まだ待っていた
光は先に届くのに
痛みはいつも遅れて来る
君がいなくなった日より
普通に戻った頃が苦しかった
二人分だった会話も
いつからか一人分になって
静かになった部屋の中
生活だけが続いていった
新しい夏が来るたび
少しずつ遠くなると思ってた
でも遠くで鳴るあの音が
君のいた場所まで連れていく
音だけ残った
夏の夜に
会えない誰かを
思い出していた
花火は見えなくても
空は明るくなって
消えたあとまで
胸に響いていた
君がいなくなったあとも
音だけ残った
最後の一発が
遠くで鳴った
夜は何事もなく
元に戻った
- 作詞者
YOHAKU
- 作曲者
YOHAKU
- プロデューサー
YOHAKU
- ラップ
YOHAKU

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音だけ残った
YOHAKU
アーティスト情報
YOHAKU
言葉にならなかったものを、そのまま残す音。 静かなトラックに乗せて、日常の中にある違和感や余白を描く。 特別じゃない時間、名前のつかない感情、 消えなかったものだけを拾い上げるように。 強くは言わない。 でも、確かにそこにある。
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