

16の夏
寮で暮らし
休みになれば海へ
サーフィンはもう
特別じゃない
だけど頭の中には
次に乗るボードがいる
雑誌を開けば
三本のフィン
波を切り裂く姿だけが
やけに眩しい
あるショップの話を聞いた
そこには
そのボードがあるはず
気がつけば
電車に乗る
ショップは二階
場所なら分かる
だけど
階段の前まで行っては
通り過ぎる
少し歩いて
また戻る
もう一度見上げる
扉を開けるだけなのに
足が動かない
そこには
本物の世界が
あるはずで
俺はまだ
その外側にいる
木の階段を上る
足音だけが響く
扉を開けば
薄暗い部屋に
並ぶボード
雑誌で見ていた景色が
目の前にある
この板で
波に乗ってみたい
俺が見ているのは
ロゴと色と
三本フィン
その人は
並ぶボードの向こうで
俺を見ている
一本を引き出し
自分に合うよ
そう言う
遠かったはずの扉が
少しだけ開く
もう一度
木の階段を上る
今度は迷わない
板は
まだそこにある
抱えた瞬間
景色が少し変わる
軽い
本当に軽いのか
身体が浮いているのか
たぶん
その両方
電車の窓に映るケースへ
何度も目が向く
見えないのに
何度も確かめる
その中には
俺のための一本がある
手元には
ボードが二本
ある日
友人が言う
やってみたい
板ならある
一緒に海へ行こう
今度は
俺が誘う
兄に連れられて
海へ行った少年が
友人を海へ誘う
波を追いかけ
また海へ向かう
サーフィンはもう
憧れじゃない
私の日常になっている
第1章を書き終えて
あの日へ帰る
光
風
波の音
潮の匂い
忘れたはずの景色が
目の前に降りてくる
兄に連れられ
海へ向かった15の夏
あれが始まり
サーフィンとの出会い
すべては
あの日から
あの頃の俺は
光の中にいた
光っていたのは
俺じゃない
周りの人たちの光が
俺を照らしていた
そして今
置いたままの忘れ物を
少しだけ
取りに行けた
- 作詞者
爆咲K
- 作曲者
爆咲K
- プロデューサー
爆咲K
- プログラミング
爆咲K

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本物へ 〜NECTAR〜
爆咲K
本物へ 〜NECTAR〜
第1章 第5話
第1章の完結を描く、ドラマチックかつエモーショナルな最終話。
偽りを脱ぎ捨て、本当の自分、そして「本物」の景色へとたどり着く瞬間を力強く歌い上げたポップロックナンバーです。
重ねてきた軌跡と涙を力に変え、新しい章の幕開けを告げる、物語のひとつの到達点をお聴き逃しなく。
Still_In_The_Ocean
爆咲K
アーティスト情報
爆咲K
人生の軌跡をコンテンツとして記録するクリエイター。 15歳で出会った海、17歳で追いかけた風、15年以上を過ごしたアメリカの日々。そして55歳で再び戻った波。 実体験をもとにしたノンフィクション作品『まだ海の中にいる』を軸に、文章、朗読、音楽を通して人生の旅を表現している。
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