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Chihei Hatakeyamaの『The Bull Head Emperor』、『Alone By The Sea』、『Requiem For Black Night And Earth Spiders』に続く、
日本の古代史シリーズの4作目。これまで、牛頭天王、補陀落渡海、土蜘蛛をテーマに取り上げて来たが、今作では隋書倭国伝がテーマとなっている。
西暦608年、隋の皇帝煬帝の使者として裴世清が来日、そこで彼がみたものは、中国人のコロニーである秦王国や、倭のオオキミの男王アメタラシヒコだった。しかし日本書紀の記載によると608年は推古天皇の時代で、女性天皇である。Hatakeyamaはこの謎に魅了にされ、今作『Butterfly’s Summer And Vanished』を制作した。裴世清は恐らく朝鮮半島を経て、対馬、関門海峡、瀬戸内海、畿内(大和)というルートの旅だったはずである。Hatakeyamaはこの時間軸に沿ってアルバムを構成した。エレクトリックギターのメロディは裴世清の視点を反映し、冒険、不安、ロマンチシズムといった彼の感情を表すようなものとなった。
『Heavy Snow』など、最近の作品ではアナログシンセをメインに制作させる事が多かったHatakeyamaの作品群であるが、今作ではエレクトリックギタードローンに回帰しているが、新たに導入したペダルエフェクトや、モジュラーシンセによるエフェクトなどの手法により、ギターシンセの境地に到達。ここでの曲はほぼ、ギターによる即興演奏であり、ポストプロダクションや、エディトといったものは最低限に押さえられている。
エレクトロハーモニクスとイーブンタイドという現代のテクノロジーによる、古代へのまなざし、大海をいく小舟や渡し人、荒波、幻想、といったものがエレクトリックギターによって見事に表現された堂々たるアンビエントの傑作がいまここに誕生した。