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歌詞

血と薔薇の讃歌

日本少女

だれもいない夜の校庭、日付が変わるちょうどそのとき、

花壇に咲いた一輪のまっかなまっかな薔薇をみつめていると、

まわりの景色のすべてがぼんやりとぼんやりと、

その輪郭と色を失いはじめて、

その薔薇以外のすべてがみえなくなったとき、

ぼくのすがたもまたぼんやりとぼんやりとうつろになって、

気づいたらぼくはその薔薇の鮮烈な赤にすいこまれてゆくのでした、

午前0時、だれもいない校庭で

少女はだれでも、そのちいさなちいさなからだのなかに、

おおきなおおきな宇宙をもっているものよ、って、

幼いぼくに教えてくれたのはきみだったね、

今ではもうぼんやりとぼんやりとしてしまうきみの影が、

浮かんでは消えてゆく、そのすんでのところで目がさめた、

ここはどこ?ぼくはだれ?きみはほんとうにここにいるの?

そしてきみの声がきこえる、

あなたはわたしのなかで生きていく運命なの、

そうよ、はじめからそう決まっていたの

血みどろの聖なる宇宙にふれて、ぼくは世界の源をこの肌で感じた、

密室のなかでも愛は語りあえるのかしらね?

もうこんなにもきみにふれているのに、すがたさえみえない、

ただきみのかけらのような星くずのひとつひとつを数えては

時間だけが過ぎてゆく、狭くて暗い密室のような場所、

それはたとえばペットボトルだってひとつの宇宙だって云えること、

あなたにもわかるかしら?

血と薔薇の讃歌をうたうの、

これからうまれてくる新しいいのちのためのうた、

赤の他人の涙と引き換えにかたちを失った死者のためのうた、

それはわたしとあなたにしかきこえないうた、

あの日の校庭に咲いていたまっかなまっかな薔薇のように

うつくしい血液がこのからだじゅうを流れていること、

それだけがぼくらのたったひとつの存在証明なの、

だからずっと、ずっと、ここにいさせてほしい

  • 作詞

    さえきゆいと

  • 作曲

    さえきゆいと

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