cism city Front Cover

Lyric

Muddy aquarium

cisco

踵鳴らしてドアを開けるから

僕の掌を抉った爪は

零さないように強く握った言葉を

落としてしまった

擦れたシャツの音が耳を咬む

汚されないように衝かれた肘

僕の指先はただ袖を滑り出して靴箱に撥ねた

灰色よりも 少し黒くて

どこか白みがかった様な

この狭い玄関で揺れたのは君の髪と水槽の中

澄んだ水の中に一滴落ちた

今にも溶けてしまいそうな色

一息で胸を染めたのに

揺らせば揺らすほど染まったのに

ありったけの絵の具を絞り出しても

血溜まりのような薔薇を挿しても

君が最後に付けた色は

もう変わることなんてないんだね

嗚呼 もう少しだけ 溺れていたいのに

掻き分ける腕の先に 君はいない

音も無く広がった輪の中で

素足だけを晒して見つめ合う

崩れないように柔らかな色を

選んでいたはずなのに

水色よりも もっと淡くて

だけど確かに色味がかっていくこの水槽に

僕と君は何を思い浮かべたんだろう

初めて浸された僕じゃない色は

綺麗なんて思わなかったのに

沈んでいくほど苦しくて

息も出来ないくらい満たされて

緩やかに滲み出した深い色は

僕には綺麗に見えていたのに

君が水を汲みに行くから

溢れてしまいそうで怖かった

嗚呼 もう少しだけ 踠いていたいのに

霞んだ硝子の果てに 君はいない

澄んだ水の中に一滴落ちた

今にも溶けてしまいそうな色

一息で胸を染めたのに

揺らせば揺らすほど染まったのに

君と僕で染めたあの水の色は

何度も何度も変わったけれど

きっと初めから最後まで

違う色に映っていたんだね

嗚呼 濁ったままの 水槽の中に

取り残された僕を 掬わないで

  • Lyricist

    cisco

  • Composer

    cisco

cism city Front Cover

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This is the first album of cisco, a vocaloid producer. It is a work that has become a hot topic due to its wide variety of musicality.

Artist Profile

cisco music

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