七日目の街のジャケット写真

歌詞

鉄と胎生

貝と蜃気楼

きっとここにはもう価値あるものなんてない。

半ばそう確信しながら、

鉄の臭いがするガラクタの山の中にいる。

陽が落ちるにつれて辺りは赤く、赤く、

それは血の臭いに似て、

まるで怪物の腹の中みたいだ。

食べる人、働く人、買い物をする人、

明日のためにすることは、

今のぼくたちには何の意味もない。

今日限り、

ほんとうの自由を持て余して、

自動人形みたいに、

いつもと同じであることを、

ただ繰り返すのだ。

誰もいなくなった廃工場で、

ようやく見つけた大きな鉄の歯車は、

重くてとても運び出せそうにない。

ぼくたちは茫然と座り込み、

世界の終わりを待っている。

世界がぼくたちのものになるのを待っている。

果てないコンクリート製の愛で

行き止まり 息詰まり 狭い箱 空 赤い 眩んだ正解

どうせ積んだって崩れるのにね ねえ

ああ傾いた

灰色の塔を塗り替えた赤で

終わりたい 腐れない ガラクタ 歯車 集めた正体

どうせ喰らったって消えちゃうのにね ねえ

ああ渇いてる

今日食べるパンは、

ただこの一瞬の空腹を満たすためにあり、

今日伝える別れの言葉は、

ただこの一瞬の後悔を和らげるためにある。

それは昨日までと同じように意味を持っていて、

昨日までと同じように繰り返され、

昨日よりも純粋な娯楽に過ぎない。

錆びた歯と

鉄の爪と

ガラスの眼

見えないまま

でたらめに

手を這わせて

ここはきっと

腹の中だ

止まる歯車がひとつ

ぼくはなぞってみたいな

知っていたいな

忘れてしまった思い出を

それはことばもなくて

赤く温かな夜に

満たされた空白を

渇きを潤す水を

生まれる前にきっと知っていた

果てないコンクリート製の愛で

行き止まり 息詰まり 狭い箱 空 赤い 眩んだ正解

どうせ積んだって崩れるのにね ねえ

ああ傾いた

灰色の塔を塗り替えた赤で

終わりたい 腐れない ガラクタ 歯車 集めた正体

どうせ喰らったって消えちゃうのにね ねえ

ああ渇いてる

  • 作詞

    小宵

  • 作曲

    貝と蜃気楼

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アーティスト情報

  • 貝と蜃気楼

    耳を劈く轟音に物語性の高いリリックを乗せて鳴らすオルタナティヴ・ヘヴィ・ロックバンド。そのサウンドはスラッジコア、ブラックメタル、ハードコアパンク、シューゲイザー、USインディーなど様々な音が渾然一体となった唯一無二のものだ。メンバーは、小宵(Vo)、KYOTOU O-EⒶST SHIBUYⒶ(Gt)、ヨシキ(Gt)、MiNT(Ba)、634(Drs)の5人組。その内、小宵とKYOTOU O-EⒶST SHIBUYⒶの2名がVtuberという異色の構成だ。2022年4月に1st EP『人魚の骨』、同年10月に1st Album『七日目の街』をリリースし、また2022年5月にはおやすみホログラム主催のライブ「打奏驚蛇」に出演、同年12月にはレコ発ライブ「七日目のパレード」を主催するなど、ステージパフォーマンスにも力を入れており、破壊的な演奏が評価されている。最近ではASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文がホストのpodcast AVMTのVOL.36にて1st Album 所収「安息日」が週のプレイリストに選曲されるなど、その存在感はあらゆる音楽シーンにおいて日々いや増しつつあり、今後も決して目が離せない。

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