北東のジャケット写真

歌詞

帳ノ鬼

Daichi Wago

みんながいつもやっているように、

美しい部分だけを切り抜くことが可能ならば

醜いものを目にした瞬間の

驚きだけを集めて

それを非常な勢いとすることだって

できるはずだ。

飛んで火にいる油虫。

黒く光って嫌われて、

銀座から丸の内へ、

大門から成田へと加速していく

私を手招いている 柳の木

この並木道はものみな一様に悪意を持って、

どこにでも現れて

私をどこかへと連れていくのです

揺れる葉のざわめきに混じって

薫ってくる香水

それとどこか腐ったような

柔らかい肌のけはいだ。

記憶 予感 トラウマ 劣情は

大脳にてシェイクされ、

美しい首を乗せた断頭台を俺に夢見せる

艶やかな暗黒は光彩を拒絶し

声を聞いているリスナー諸君を

冷ややかな谷へと投げ込むのだ。

地の底こそが本拠、

瞳孔かっ開いて

忌み嫌われしものたちと共に

高く飛翔しよう

六本木の排水溝の前で踏み潰されている同胞

何千もの命たちが

ブチ切れてバイブレーションさせる羽根の音

の振動こそ俺の

バックトラックにふさわしい

鋭敏に反応するこの触覚と6本足

ムカデみたく前進する精神病全開

ザムザみたく変身する全神経が新しい

世界中の動物園の鍵を盗み出したい

各地にて暴発させるジャングルやらサバンナ

熱帯植物園にジャガーが襲来し

犬カフェにて

お客様を食い散らかしている

ハイイロオオカミ。

ざわざわと揺れて手招きする柳たち

あれは

くたばった詩人や哲学者や画家どもの影だ

ざわざわと揺れるあの影どもの手招きが

脆弱な俺に犯しがたい命題を与えたんだ

絶滅寸前の叛逆行為

日本列島出身の芸術家

名はDaichi Wago

ジャンルは「糞食らえ」

東尋坊に向けて賽は投げられた

言霊は交配し産卵し繁殖して氾濫して圧倒的

みんながいつもやっているように、

美しい部分だけを切り抜くことが可能ならば

醜いものを目にした瞬間の

驚きだけを集めて

それを非常な勢いとすることだって

できるはずだ。

牙を抜かれて殺処分場に送られる前に、

只今から

純粋で獰猛な芸術の時代を始めよう。

  • 作詞者

    Daichi Wago

  • 作曲者

    junchai

  • プロデューサー

    junchai

  • レコーディングエンジニア

    junchai

  • ミキシングエンジニア

    junchai

  • マスタリングエンジニア

    KUROMAKU

  • グラフィックデザイン

    NAOHIRO YOSHIDA

  • ボーカル

    Daichi Wago

  • ライセンスされたビート

    junchai

北東のジャケット写真

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Club Asiaで開催されている芸術と音楽の実験集会「魔界難入」の主催者としても活動するアーティスト・Daichi Wagoが、キャリア初となるフルアルバム「北東」をリリース。
プロデュースは横須賀を拠点に活動する3ピースロックバンド・Fallsheepsのメンバーであるjunchai、syu yoshida、Itsuki Kunらが手がけ、マスタリングはKUROMAKUが担当した。アートワークは同じく「魔界難入」の主催として活動する画家・Naohiro Yoshidaが製作。
本作品は、歌人・馬場あき子氏の著作である「鬼の研究」(筑摩書房)から大きな影響を受けて製作された。日本のさまざまな場所で精力的にLIVEを行うDaichi Wagoが、「高速で放浪する感覚」と、「どのジャンルや界隈にも所属することができない感覚」を12曲=12匹の鬼に託してアウトプット。シュルレアリスムを軸とした現代詩的なリリックをラップ、歌唱、演技などの形で使い分け、まだ見ぬオルタナティブな表現に挑戦した。ビートはポストロック・ブーンバップ・ハードテクノ・トリップホップ・アンビエント・バイレファンキ・民謡など多種多様なジャンルをカバー。さながら「聴く長編映画」のように、物語の進行に合わせて複雑な展開を見せている。
タイトルは、鬼の出入りする方角にちなんでつけられた。これは既存の文脈やジャンル分けでは定義の難しい、「まつろわぬ音楽」。重たい雲が立ち込める北東の方角から、旋律と鬼哭が聞こえてくる。

アーティスト情報

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