50/50 & other rare tracksのジャケット写真

歌詞

Z橋で待つ (ライブ リハーサル)

岩下啓亮 Sardine

十代のころに

味わった絶望は

三十歳を過ぎても

未だに変わらない

くたばりかけの貨物列車が

のろのろと引きずられている

黒い塊が次々に

夕焼けに流しこまれる

そして俺はかなわない

思いを胸に抱いて

鉄柵を乗り越えて

ハモニカを吹いている

Z橋で待っている

きみが来てくれるといいな

人間関係を

希薄に感じると

原っぱに飛びこんで

土の匂いをかいでた

煙草工場の甘くて苦い

匂いが立ちこめている

痩せっぽち野良猫が誰かさんの

古靴を咥えて走る

そして俺は所在なく

紫に染まった

空を見渡しながら

林檎を頬張っている

Z橋で待っている

ここで頑張っている

航空自衛隊の

練習機が白い

雲を吐きだしながら

秋の終わりを告げる

操車場を跨ぐZ橋のたもと

線路際コスモスが揺れている

あゝそれでもやっぱり季節はめぐる

この季節を過ぎればきみはどこか遠い

そして俺は喋りすぎて

喋るのをやめ

かんじんのことだけは

口に出せずに、消えた

Z橋で待っている

どうか気がついておくれ

Z橋で待っている

きみが来るような気がしてる

  • 作詞

    岩下啓亮 Sardine

  • 作曲

    岩下啓亮 Sardine

50/50 & other rare tracksのジャケット写真

岩下啓亮 Sardine の“Z橋で待つ (ライブ リハーサル)”を

音楽配信サービスで聴く

ストリーミング / ダウンロード

岩下啓亮 Sardineが1989年に自主制作した『50/50』は、岩下のピアノプレイヤーとしての実力が遺憾なく発揮された8曲入り作品集です。歌とピアノが五分五分という意味で、タイトルを「フィフティ・フィフティ」と名づけましたが、ひとり多重録音によるぶ厚いコーラスも特徴的です。
今回リリースするにあたって、音楽短期大学在学中に作曲法の講義で発表したインストルメンタルを1曲、ライブ時のリハーサルを2曲、「夢からさめなさい」初期バージョンを1曲の、計4曲を追加しました。
歌とピアノの同時録音はときに粗削りな様相=ミスタッチもみせますが、ドキュメントの臨場感は他に変えがたいものがあります。どうぞお楽しみください。

アーティスト情報

  • 岩下啓亮 Sardine

    鰯こと岩下啓亮 Sardineです。1985年から2002年までの18年間で、ひとり多重録音した楽曲がおよそ150曲ありました。これらを2024年に順次リリースします。 まず、親しみやすい歌を集めたアンソロジー『Catchy 22』を2月24日に配信。次にビタースイートなアンソロジー第二集『鰯の告白』を3月23日に配信。4月27日には社会派の作品集『21世紀のプロテストソング』を配信。そしてピアノと歌による『50/50』を5月24日に配信しました。その後も初めて制作した作品集『Everything/Nothing』を6月23日に、さらに『離してはいけない』『Cut 'N' Paste』の計3枚をリリースする予定です。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。鰯の歌どもを、ぜひお聞きください。

    アーティストページへ


    岩下啓亮 Sardineの他のリリース
"