

勝鬨(かちどき)は 空に満ち
兵は生を 取り戻す
だが耳の奥 消えぬ音
踏み込み一つ あの残響
誰もが語る 勝ちの理由
誰もが数える 首の数
だがその隙間に 沈む影
口に出せぬ 一つの名
……語るな
あれは 言葉にすれば軽くなる
称えれば ただの武勇に落ちる
違う あれは
理を越えた“在り方”だ
槍を拭う 血は落ちる
だが消えぬ 手の感触
重さではない 速さでもない
“迷いの無さ”が 骨に残る
一合(ひとあい)で知る
二合(ふたあい)で確信する
三合(さんあい)に至らず 悟る
――崩せぬ
囲めば倒れる 道理はあろう
だがそれは 勝ちではない
ただ時が 数を選んだだけ
それでいい
ここは戦(いくさ)
勝ちを定める場
理に殉じて 理で終える
それが我らの務め
だが
胸の内に 静かに置く
一つの秤(はかり)
あの男を そこに乗せる
釣り合う者を 知らぬ
名を呼ばぬ
褒めもせぬ
語れば 濁る
ただ 記す
――関ヶ原(せきがはら)の戦いの霧の中
一人 道を裂き続けた者あり
鬼と呼ばれたか
それでいい
人であったか
それでもいい
ただ一つ
確かなことは
あれは“退かなかった”
それだけで 足りる
酒の席でも 触れぬ
論功の場でも 挙げぬ
主に問われても 簡に返すのみ
「前線は 制しました」と
それで足りる
あの名は 胸に置く
誰にも渡さぬ
軽くも 重くもせぬ
沈めて 澄ませて
ただ 在らせる
――島左近(しま さこん)
勝者の側にて
敗者を称えぬこと
それが礼ならば
語らぬことこそ
最大の礼
槍は今日も 静かに立つ
飾らず 誇らず
ただ折れぬために在る
あの一歩を 忘れぬために
- Lyricist
chubby face
- Composer
chubby face
- Producer
chubby face
- Programming
chubby face

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The Unspoken Honor: The Inner Thoughts of Honda Tadakatsu
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