STAY HOME ROCK TOWNのジャケット写真

歌詞

気仙沼のうた

Spection

「かつてここには 駅があった」

グーグルマップが教えてくれた

海から1キロ離れたこの場所まで

辿り着いた津波が駅を飲み込んだのだ

 

初めて訪ねた気仙沼の町は

今では普通の都市と変わらなく見えた

コンビニがあってコンクリート道路もある

ただ古い建物がない 少し不思議な景色

かつてここには 市場があって

沿岸のカツオやサンマが飛ぶように売れた

海が見えるすぐそこの場所に駐車場があって

週末になると 観光客でいっぱいになった

 

「ここは漁業の町だから

あの賑わい取り戻すことなしには復興もない」

だから漁師の妻たちは力を貸して

また新しい市場をおんなじ場所に建てた

 

あの日揺れたかどうかで

入れ替わりえた暮らし

僕が見た気仙沼の町は

ただ変わらない海のそばで

 

「この町の海抜があと少し高ければねぇ」

ゲストハウスの男は 悔しさをにじませた

彼はこの町とともに生まれ育ち

今は震災の教訓を伝える

“語り部”の活動をしている

 

「津波は怖いもんだぜ

おれの家は高台だった

少し下に住んでいただけの 知り合いの家はみな海に流された

明くる日の朝 馴染みの海水浴場に打ち上がった

沢山の人の姿を忘れることはできない

だけど

それでも俺たちは今まで魚を釣って

海とともに生きてきたから

今回の事で海を嫌いになったりは

少なくとも俺はしないさ」

そう言って少し笑った

 

「かつてここには 駅があった」

その語り部は誇らしげに教えてくれた

「鉄道の復旧を待てば5年、10年とかかる

だから俺たちゃ線路を埋めて

バスを走らせることにしたのさ」

子どもたちは今日も快速のバスに乗り込み

単語帳をめくりながら新しい学校へ向かう

夜になれば きっと

沿岸で獲れたカツオやサンマが

また彼らの食卓にずらりと並ぶだろう

あの日揺れたかどうかで

入れ替わりえた暮らし

町並みは変わって僕らも変わった

ただ変わらない海のそばで

  • 作詞

    Spection

  • 作曲

    Spection

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「コロナ禍を音楽の力で吹き飛ばす!」インディーズ3ピースバンド Spectionが、自宅からのリモート共演で完成させた13曲入りフルアルバム。今回VocalしみPayが楽曲制作にDAWを初導入。彼らの個性たるJpopメロディへの愛着心はそのままに、サウンド面が洗練。曲ごとに全く違う顔を見せてくれる微笑ましい名盤である。

アーティスト情報

  • Spection

    山陰地方を拠点に精力的に音楽活動を行う3ピースピアノロックバンド。印象的なピアノリフやベースソロ、キャッチーなメロディが一度聞くと耳から離れない。「同年代の働く世代に応援歌を届ける!」というコンセプトで作られたボーカル清水の歌詞もぜひ聞いてほしい。

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