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「Do You Remember Me」は、1970年代後半、岡崎友紀が“国民的アイドル”という存在から、より音楽的な表現へと歩みを進めていく過程で生まれた楽曲である。可憐さの奥に切なさと都会的な陰影を秘めたその佇まいは、後年“シティ・ポップ”と呼ばれる感性を先取りするものであり、岡崎友紀のディスコグラフィーにおいても、重要性を持つ一曲として位置づけられてきた。
その音楽的到達点として結実したのが、1981年に発表されたアルバム『So Many Friends(ソー・メニー・フレンズ)』 である。岡崎自身が作詞にも参加し、ウエストコースト/AORの質感をまとった同作は、“歌う女優”というイメージを大きく更新し、アーティストとしての岡崎友紀を明確に刻印した作品だった。
近年、このアルバムがシティ・ポップ・ブームの流れの中で再評価されていることは、「Do You Remember Me」が内包していた音楽的志向が、決して一時代のものではなく、今なお有効なポップスの感性であることを示している。
本作では、清水信之が「Do You Remember Me」を、単なる再現や懐古としてではなく、幾重にも折り重ねられた音のレイヤーと精緻な奥行きによって、感情そのものを包み込むサウンドへと再構築している。
加藤和彦の創作の現場を間近で知り、その音楽的美意識を深く理解し、又当時の岡崎友紀レコーディングチームの一員でもあった清水だからこそ、原曲の精神を損なうことなく、新たな時間軸を与えることができた。
重層的でありながら決して過剰に傾くことのないアレンジは、楽曲に新たな時間の流れを与え、聴く者を静かに、しかし確実にその世界観へと導いていく。
そこに重ねられるのは、年齢と経験を重ねた今の岡崎友紀だからこそ宿る、深く、柔らかなヴォーカル。かつての透明感は失われることなく、むしろ言葉一つひとつに重みと余韻を携え、この楽曲が持つ「記憶を問いかける力」を、より強く、普遍的なものへと昇華している。
昭和、平成、令和――
三つの時代を横断し、なお色褪せることなく響き続ける「Do You Remember Me」。
それは過去を懐かしむための再演ではない。岡崎友紀というアーティストの軌跡と、日本ポップスの豊かさを、今の耳で聴き直すための一曲である。
1970年代を代表する国民的スター。女優・歌手として一時代を築き、その透明感あふれる存在感と唯一無二の声質で、今なお多くの人々の記憶に深く刻まれている。 1971年に歌手デビュー。「私は忘れない」「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」などのヒット曲を世に送り出し、同時期にテレビドラマや映画でも活躍。可憐さの中に芯の強さを感じさせる佇まいは、時代を象徴するアイコンとして絶大な支持を集めた。近年は表立った音楽活動から距離を置いていたが、本作「Do You Remember Me」において、実に45年ぶりに同楽曲を再び歌唱。年齢と経験を重ねた今だからこそ表現できる、深みと余韻を湛えたヴォーカルが、名曲に新たな生命を与えている。 本作は、過去を懐かしむための作品ではなく、“今の岡崎友紀”が歌う必然性を持った現在進行形の一曲である。
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