Lyric

柔らかな薄れ日　夜明けを告げる

見上げた窓の外は今日も無口で

緩やかに花弁舞う　春風とともに

季節に置いてかれた者の憧れ

間違いだらけの朽ちた道標よ

私を導いて

叢雲の隙間から今　降りそそぐ

陽だまりに包まれて

レンズ越しには映らない光

いつまでも忘れないよ

遠くの屋根の色さえも

懐かしさに染まる夏は特異点

麗らかな木漏れ日　眠気を誘う

閉ざしたドアの向こうは

今日も饒舌で

鮮やかに彩られる

木枯らしとともに

季節を取り残した者の黄昏れ

生まれたばかりの儚い命よ

私を受け止めて

苔岩の隙間から今　舞い上がる

水しぶきに囲まれて

言伝では解らない影を

どこまでも連れてくよ

蝉の声に消されても

奥ゆかしく沁みる夏の多元性

何度も建て直した張りぼての勇気で

やっと辿り着いた私だけの恒等写像

いつまでもどこまでも　繋いで

眩しく蘇る　深い眠りから醒めて

微睡の中見つけた淡い宝物

離さないよ　さよならのその先も

夏の終わりの明暗差に色褪せても

ずっと笑顔で