Lyric

漠然たる畢生

その道途にて接する

享楽や哀傷を

“感情”と名前をつける

際限なき霄漢

渺茫たる溟渤

その綾より放たれた

波動を辨別させる

精彩を欠いていた

截然たる森羅万象

喜怒哀楽の胸懐が

それら一切を呈色する

捉えた色は　霞が掛かった

この命脈へと　理屈を 指し示す

事象を知覚する時

伴ったその痛みが

この体躯に突きつける

“憂慮” や “恐怖” が

情動全てを支配し

齎したその柵が

前へと踏み出す為の

その礎を 揺るがした

取り囲む 風光が

不滅である事に

幾久しく縋っていた

憂心に 抑圧された 感情

その様相も尋常一様となって

「在る」事への動機が 判然としなくなった

溝を埋めるかの如く受容していた知識が

己の思考をひどく懐疑的にしていた

しかしそれは唐突に 覚束無い思慮が

抱いていた 朧げな恐怖へと及ぶ

知覚する過程へと巣食うその”恐れ”は

自らと雑多な事象との隔たりとなって

この身を庇護していた事に気が付いた

その恐怖を凌駕し、心眼を呼び覚ませ

形相を変え 迫り来る

この脚を竦ませた畏怖が

侵す事の出来ぬ様に

萌芽した思想

それが境界を 牢固たるものへ

そして打ち砕く事の出来ない “信念”を 形成した

深層で　錆び付いていた

闘争の　本能を 蘇らせ

色彩より　与えられた恐怖を

超克した先にあった

自己を確固たるものにする信念を

もう二度と掻き消されぬ様に いつまでも

闘い続ける