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忠臣蔵で有名な赤穂浪士四十七士の一人、堀部安兵衛。故郷越後国新発田藩で中山家(旧姓)再興を志して江戸に上るも、堀部弥兵衛に見込まれて婿入りし赤穂藩士となる。しかし、殿の浅野内匠頭(アサノタクミノカミ)が吉良上野介(キラコウズケノスケ)との確執の中、殿中松ノ廊下で上野介に切り掛かった刃傷事件により内匠頭は即日切腹、浅野家はお家取り潰しとなってしまう。喧嘩両成敗のはずが吉良にはお咎めなしの、この片手落ちの裁定を下したお上への異議と、殿の無念を晴らすため浪士となった元赤穂藩士たちは立ち上がり吉良邸に討ち入り吉良の首を捕り本懐を遂げる。命を張って忠を尽くした赤穂浪士たちの凱旋を江戸中が賛美の声で迎えた。浪士たちはこのあと逃げも隠れもせず、出頭し、お上の裁定に身を委ね全員が切腹を賜ることとなる。勿論、堀部安兵衛もその中にいた。故郷を遠く離れた旅の末期に、安兵衛の胸に蘇ったものは。旅流 草一郎、渾身の歴史浪漫をここに発表する。