Lyric

八月を数えて

君は大人に成り損ね

キャンバスはあの日のまま

白く透明な君が描かれている

時間は流れ

流されていった

君はあの時のままで

歳をとる僕の手はまだ

何か探し続ける

さよならは青くて夏は

怖いくらい青で

君の着てた服は

あれはどんな色だったっけ

思い出せない

いつも

描きかけのキャンバスに

君の姿を探してただ

忘れていくことを拒むために

頭に映る美しいままで

残したくて

今日も筆を執った

色のない現実

進むだけの時間

イーゼルを担いで

もう行くよ

ここじゃ 空も見えないなぁ

空白を埋めて

色を塗り替えて

心に浮かぶ月に

届きたい

君は美化されて薄れてく

手には絵の具が滲んで

まだ足りなくて

日々を使い込んでる

さよならしたあの日が手招いた

僕は

もうあの夏もこの日々も

幼いままの君も

大人になってしまった僕も

全部わからなくて

逃げて　ずっと逃げて

目を背けて　耳を塞いで

逃げた先で

僕は絵を描いている