同じ顔

アパート借りに行った日
君は笑ってた603号室だった
二人の一番のお気に入りは　窓から見えるそれは美しい朝焼けだった
アパートから出る最後の日別れ話した　雪が降ってた運よく運悪く

最後の夜寝ていた君はいつもの癖で俺の腕を抱いていた
幸せそうなアンパンみたいな顔をして

こんな顔をいつもしてくれてたんだな
最近君の顔だってちゃんと見てなかったんだな

涙がこみ上げてきた
心の中大きな声で「ごめん」と君に叫んだ

君はまだ寝ているから
さよならしたことを忘れてる
目が覚めたその瞬間　さよならした昨日を思い出すんだろう

朝焼けがのぼる前にこの部屋を出よう
部屋に残る俺の荷物が真っ赤な空に照らされていたんだ

部屋を出ようとしたとき　あなたが起きた
計画が崩れた
いつも部屋を出るときはハグをしていたけど
昨日のことがあったから　お互いどうすればいいかわからなくなって
なぜか握手をした

今までで一番の「ありがとう」をいう時がやって来たんだね
赤い空がきれいだった　皮肉なくらいきれいだった
君はまだ何も言わず　不安そうな目で俺を見ていた
部屋を出て始発をまった　あの真っ赤な空を仰ぎながら

涙しながら