Lyric

あの日、私は恨んでいた　憎んでいた

彼女が許せなかった

その邪な心に潜む魔女は囁いた

『この毒バナナを食べさせなさい』

あの時、私の前足は震えていた　怯えていた

でも彼女が許せなかった

一切疑うことなく、あの子は食べて言った

『とっても美味しかったわ』

あの後、私は後悔した　涙ぐんだ

自分が許せなかった

燃え盛る炎の中で魔女に叫んだ

『全て元通りにして！』

その時、私は懇願した　切望した

彼女に謝りたかった

意地悪そうな魔女は言った

『代償は、お前の命さ』

その後、私は一輪の花になった

翌朝、いつもの見慣れた景色のその先で

オレンジ色の花が見守るように

風に揺らめいていた

ある日、彼女は唖然とした　目を見張った

何かをじっと見つめていた

目を輝かせて彼女は言った

『なんて綺麗なお花かしら』

あの時、彼女は浮かれていた　ほほ笑んでいた

はやる気持ちを抑えれなかった

花を嗅ぐと彼女は呟いた

『とっても素敵な香りだわ』

ーごめんなさいー

その時、彼女は驚いた　胸が締め付けられた

涙が溢れる理由が分からなかった

倒れ込む彼女の耳に微かに響いた

『…アリアちゃん』

その夜、酷くうなされていた彼女は

夢の中で、愛想を振り撒く自分を見ていた

誰かの記憶のようだった

嫉妬心と罪悪感の入り混じった感情が伝わり

胸が張り裂けそうだった

やがて、差し出されたバナナを

嬉しそうに味わう彼女をよそに

その心には激しい葛藤があった

彼女が感謝の気持ちを伝えると

静かに俯くその瞳には涙が浮かんでいた

彼女の純粋無垢な笑顔により

こわばった表情は緩み

次第に笑みがこぼれだした

彼女が名前を尋ね、口を開いた時

思わず目覚めた彼女は呟いた

『…＊＊＊ちゃん？』

土砂降りの中、駆け出した彼女は

飼育員たちに見守られながら

オレンジ色の花に何かを伝えているようだった