

久しぶりだねと
君が笑った
その声だけ
昔のままで
返事をするまで
少し時間がかかった
駅前の小さな店
窓際に向かい合って
冷めていくコーヒーを
意味もなく混ぜていた
「変わらないね」
笑って返したけれど
昔みたいに目を見るのは
少し難しかった
君が時計を見るたび
話題をひとつ増やした
あと十五分
あと十分
終わりを数え始めた時点で
きっと平気じゃなかった
もう少しだけ君と
この夜を歩けたなら
昔みたいじゃなくていい
ただ隣にいられたら
忘れていたはずのことが
くだらない順番で戻ってくる
好きだった歌も
笑うときの癖も
まだ覚えていた
店を出れば冷たい風
昔と同じわたしの右
少し歩幅を落としたら
君も少し遅くなった
気づいたのか
偶然なのか
聞かないまま歩いた
青信号なのに
動けずにいたら
君も隣で
立ち止まっていた
もう一度だけ君の
名前を呼んでしまえば
振り向いたその顔に
何を期待するんだろう
言いたいことほど
言葉になると違ってしまう
駅まであと少し
それだけは
ふたりとも分かっていた
改札の前
君が立ち止まる
「じゃあね」
昔と同じ
短い言い方
わたしも何か
言おうとした
君も少し
待っていた
でも人の流れが
ふたりの間を通った
「元気でね」
君が笑った
それだけだった
もう少しだけ君を
見ていたいと思った
改札の向こう
消えてしまうまで
名前を呼べば
きっと振り向く
だから呼ばなかった
何もなかったら怖くて
何かあっても怖かった
君の背中が
小さくなる
あと三歩
あと二歩
そのとき
君が振り向いた
わたしは笑って
手を振った
君も手を上げた
それだけで
また歩き出した
帰りのホーム
言えばよかったのか
言わなくてよかったのか
今日はまだ
決めなくていい
電車が来る
風で乱れた髪を
耳にかける
ポケットの中で
握っていた手を
ゆっくり
ひらいた
君が振り向いたことだけ
今夜は
覚えていたい
- 作詞者
HITOKOE
- 作曲者
HITOKOE
- プロデューサー
HITOKOE
- ボーカル
HITOKOE

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君が振り向くまで
HITOKOE
久しぶりに再会した、かつて大切だった人。
何気ない会話、冷めていくコーヒー、昔と変わらない歩幅。
もう平気だと思っていたはずなのに、駅へ近づくほど、言えなかった言葉だけが増えていく。
名前を呼べば、きっと振り向く。
でも、振り向いたその先に何もなかったら怖い。
そして、もし何かが残っていたとしても、それはもっと怖い。
だから彼女は最後まで呼び止めない。
改札の向こうへ消えていく背中。
あと三歩、あと二歩――。
その瞬間、彼が一度だけ振り向く。
『君が振り向くまで』は、終わったはずの恋にもう一度触れた夜と、言葉にできなかった想いを描いた切ないラブ
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HITOKOE
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