※ Preview may take some time.
※ Preview is not available for songs under copyright collective.
嵐吹く三室の山のもみぢ葉は龍田の川の錦なりけり
百人一首69 能因法師
(現代語訳:嵐が吹き散らす三室の山のもみじ葉は、こうして龍田川の川面に散り敷かれて、ちょうど川を錦に染め上げるものだったのだなあ。)
実は、実際に三室山と龍田川に行ったのは、作曲をした後のことである。歌が呼び起こす圧倒的な色彩のイメージに揺り動かされて書いた。尺八奏者・倉橋容堂先生による演奏を収録。伝統を継承される先生の笛の音が、和歌の真髄をよびさまし、私の旋律に命を吹き込んでくださった。「息」がすなわち「生き」ることであると、尺八の吹き渡る風のような音は教えてくれる。もみじ吹き散らす風の「動」と川に葉が散り敷かれる様の「静」、そのどちらをも感じていただけるだろう。
次郎丸智希 作曲家・ピアニスト・朗読家。福岡出身。大阪大学文学部卒(音楽学)、同大学院修了(ドイツ文学)、神戸大学大学院人間発達環境学研究科・博士課程修了(人間表現専攻)博士(学術)。第17回万葉の歌音楽祭・大賞、第28回TIAA全日本作曲家コンクール(重唱・合唱の部)第1位受賞。文学と音楽両面からアプローチする独自の作風で多くの作品を発表。現在、フェリス女学院大学・グローバル教養学部・文化表現学科・音楽身体表現専攻・准教授、お茶の水女子大学講師。主な作品に、独唱・重唱・合唱のための《百人一首によるうた》《万葉名歌集》、カンタータ《まかる空~竹取物語より~》、ピアノ4手連弾のための《MUSEUM》他多数。研究論文『武満徹作品における音楽語法の変遷―SEAモティーフを中心に―』、『武満徹作品における引用~《夢の引用―Say sea, take me!―》を中心に~』『歌曲の実践と文芸』『武満徹の音楽語法「SEAモティーフ」の萌芽と生成 ~《鳥は星形の庭に降りる(1977)》と《遠い呼び声の彼方へ!(1980)》の比較を通して~』