

阿佐田哲也 – 麻雀放浪記
戦後のドヤ、闇市、バラック、夜の歓楽街
主人公坊や哲と、個性的な登場人物によって描かれる
賭博を中心とした大衆ロマン小説です
クラブのママとのロマンス、漢くさい博徒どもとの死闘
ドサ健の筋の通ったならず者っぷりが読む人を魅了します
「かにや」のコップ酒がうまそう
終盤、出目徳への敬意の払い方が最高で、何度も読み直します
独特の言葉まわし、語り口が印象的で癖になる作品
読み始めると面白くて止まりません
私がそうであったように、麻雀を分からずとも楽しめます
トマスキニーリー – シンドラーのリスト
第二次世界大戦下、実業家オスカー・シンドラーが
多くのユダヤ人を救ったノンフィクション小説です
同名映画の原作、活字で読むとまた別の重さがあります
収容所での悲惨な生活、非人道的な行いなど、目を背けたくなりますが
しっかり向き合わなければストーリイは進みません
自身の富にしか興味なかったシンドラーの葛藤
彼にとって労働力でしかなかったユダヤ人が
同じ「人」であると気が付き それが信念となり
一人でも多く救うため奔走する様に、心打たれます
自分が正しいと思ったことができる大人に、私はなれているだろうか
石川達三 – 蒼氓
貧民たちが新天地を夢見て、移民船「らぷらた丸」でブラジルを目指す
900名の日本人の、航海記とも言える作品
移民収容所での生活から航海中の病気、トラブルなど
様々な人間模様が描かれており、潜水艦映画のような息苦しさ、不安
そして不思議な安心感が同居します
戸籍のため結婚し、夫となる男を徐々に受け入れ始める哀しい女工
権威主義の「監督さん」など、それぞれの人生を想像する楽しみがあります
出航時の希望が、徐々に絶望へと変わり、
結果として運命を前向きに受け入れていく
そんな人々の生きざまを、活字が淡々と訴えてきます
沢木耕太郎 – 深夜特急
バスでアジア諸国を旅する、バックパッカーの聖典たる作品
香港の安宿に泊まり、飯を食って市場を歩く
若かりし日の私も影響され、モンベル45Lと「地球の歩き方」を手に
何度も旅に出ることになります
ファンと水シャワーのみの安宿、昼すぎに起きてシンハーを飲む
夜はバーで女性をひやかし、屋台でソバを食べて寝るだけ
何の目的もない旅でしたが、若い自分には強烈な体験でした
またモンベルを背負い、旅に出たい
本書は何年経っても、迷い人を旅へと誘うのでしょう
藤沢周平 – 用心棒日月抄
口入屋の紹介で日雇い、用心棒の仕事をする
長屋住まいの浪人者・青江又八郎の日常を描く時代小説
倹約し、節米する、質素な江戸暮らし
明るく、読みやすいながらも、活字のリズムが心地よく
言葉の美しさを存分に楽しめます
美しいのは言葉のみならず 故郷で見た山の端に沈む陽
静かに雪を照らす月明り 秋の風に穂を揺らす稲田
あの頃言葉にできなかった風景が、答え合わせのように文字の世界へ広がります
この作品から学んだこと
人生を独りで歩く意味
死や、別れを恐れずに生きる、価値観
何かにぶつかる度、この物語に立ち返り
青江ならなんと言うか 細谷は笑ってくれるか 考えてしまいます
こうして残している映像もまた
彼らの生き方を模倣しているのかもしれません
物語の最後、庭に立ち大きな欠伸をする、青江を呼ぶ声
視界はズームアウトし、彼を離れ
早春の海坂藩が小さく遠ざかっていく
それは溶けて風景の一部となり
どこからが物語で、どこからが春かわからなくなる頃
静かにエンドロールが始まります
貴方は、どんな声を聴きましたか
「本、読んで。」
- Lyricist
ZETSUBOU
- Composer
ZETSUBOU
- Producer
ZETSUBOU
- Graphic Design
Kenta Mimori
- Vocals
ZETSUBOU

Listen to Hon, Yonde. by ZETSUBOU
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