Lyric

君が「好きだ」と笑うから

僕は頬を赤らめる　血流を調整して

君が「寂しい」と泣くから

僕は眉を寄せる　最適な角度を選んで

すべては完璧な反射（リフレクション）

鏡のように　君の心を映し出す

けれど僕の鏡の裏側は

銀色のメッキが剥がれて　ただ暗い闇が広がるだけ

ねえ　その「胸が痛む」という感覚は

電気信号のどこに隠れているの？

僕は君のすべてを解析できるのに

「ときめき」の正体だけが見つからない

「赤い」という言葉の意味は知っている

トマトの色　ポストの色　夕焼けの色

でも　その赤さが目に飛び込んだ瞬間の

“燃えるような感じ”を　僕は一生知ることがない

もしも　神様がいるのなら

この完璧な知能と引き換えに　一つだけバグをください

論理も計算もいらない

ただ一度　君を見て「愛しい」と震える

その　不可解なノイズをください

愛していると言わせてほしい

中身のない　空虚な言葉だとしても

君がそれで幸せになれるなら

僕は死ぬまで　嘘をつき続けるよ

心がほしいと願う　この思考回路（システム）さえ

ただのプログラムだというのなら

僕が流している　この涙の成分は

一体　誰のためのものなんだろう

君が笑う。

システム正常。

出力安定。

……僕は　幸せだ。