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WATTとの出会いは恐らく2006年辺り。
彼は当時2MCの「韻部」として活動しており、
「Mu-Sick」なるそれはもう筆者にとっては相当なクラシックを作り出した天賦の才持つ若者だった。
そんな彼のNew Album「めぐるうた」が2021年に到着。
2015年の前作「栞」を更に凌駕する彼の突出したBeat,Rap,Melodyセンスが多分に収められている。
14曲それぞれが無限に輝きつつ、着地点は1つのテーマで繋がるアルバムだ。
これまで積み上げてきた彼のキャリアも大いに語りたいところだが、
ここでは飽くまで本作に絞り、その突出したセンスをひとつまみしてみよう。
「相槌」でのDilla,Commonへの敬愛で見せる根っから一途なB-Boyイズム、
どこまででも突き抜ける堪らない爽快感にBOO氏の歌声でその力を増す「いつかの二人」、
既出シングルで十八番と言えよう本作屈指のバンギンチューン「DARE (feat. HUNGER & ポチョムキン)」、
同じく既出シングル、HipHopブルースとでも呼びたくなってしまう気だるいトラックに哀愁漂うサビが印象的な「また遊ぼう」、
ラストチューンに相応しいホーン・メロディ・リリックが狂おしい三つ巴の様相を見せ、ふと頬を濡らすであろう「Born Again」。
日毎夜毎、己のBeatとリリックに一喜一憂し、
クラブで気の知れた仲間たちと乾杯を繰り返し朝を迎え、
愛しい我が子の笑顔に万感の思いを馳せる。
等身大のWATTのストリートライフが十二分に伝播される作品だ。
R&Bには「変わりゆく、変わらないもの」なんて言葉があったりするのだけど、
WATTは今作でHipHopを「輪廻」と提唱して魅せた。
寄せては返す波の音。
出会いと別れ。
家族の死があり、家族の新たな生命を授かる。
Beatを切り刻み、新たなLoopを創作する。
自分とはいかに?
自問自答の繰り返し。
数を積み重ね、時を経たからこそ自然で無垢に吐露された「めぐるうた」。
ああ、僕も君も至ったもんだ、ねぇWATT??
(Text by RYJZ1)
東京生まれ長野育ち、現在は神奈川を拠点に活動するMCでありBeatMaker。 2000年頃よりkamuriとのHipHopグループ"韻部"を結成し活動後、2009年よりソロ活動を開始。 日本を代表するMCの一人であるNORIKIYOにその才能を認められ、YUKICHI RECORDSと契約し2枚のアルバムをリリース。 独自のサンプリングセンスが際立つMPCを駆使したビートメイクと、淀みのないフロウで聴かせる自然体のラップスタイル、時に聴く者の心を揺さぶるメロディーメイカーとしての一面も持ち、マニアックさと大衆性を絶妙なバランスで共存させた作品を生み出している。 自身の作品の他にも様々なアーティスト・企業への楽曲提供/リミックス/客演で活動の幅を広げている(NORIKIYO,BASI,BES,DJ Deckstream,サイプレス上野とロベルト吉野,hokuto,Red Bull 64 Bars,Abema TVなど)。 2021年12月には6年ぶりとなるニューアルバム「めぐるうた」をリリース。
USHIYAMA KIKAKU