Lyric

ちゃぶだいの向こう　おとうさんが笑う

小さなテレビの光が　部屋をあたためる

「この道しかない」と　少年は胸でつぶやき

拍手の練習を　ひとりでしていた

外国の歌が鳴った夜　反骨とやさしさを覚え

「見習い」と名乗って　小さな幕が上がる

大きな背中のとなりで　リズムを刻み

ひげのダンスで　お茶の間に春が来た

白粉のあなたが　扇で風をおこす

「変なおじさん」も　最後はやさしく笑う

くだらないが世界を救う夜があって

ぼくらは何度も　救われてきた

あなたの笑いは今も　この空に溶けて

やさしく誰かの明日を照らす

生きた証は消えたりしない

拍手の波が今も続いてる

ありがとう　ずっと忘れない

あなたが生きたこの日々を

小さな手が震えているとき　叱るより先に微笑む

動物たちの瞳に映る　静かな愛しさ

番組の終わりに　深く頭を下げる所作

春の知らせは静かで　街の灯が少し滲む

遠いステージへ向かうあなたに　間に合わなかった言葉

けれど画面のこちらで　ぼくらは口ずさむ

「大丈夫」と　あなたがくれた合図を

あなたの笑いは今も　この空に溶けて

やさしく誰かの明日を照らす

生きた証は消えたりしない

拍手の波がいまも続いてる

ありがとう　ずっと忘れない

あなたが生きたこの日々を

免許のない弟子が　白い車を受け継いだ

ハンドルの向こうに　あなたの癖のある笑い声

走り出した道は　もう止まらない

想い出はいつでも　前へ進むための燃料だ

やがて駅前に　銅色の微笑みが立つ

待ち合わせの人々が　少しだけ背筋を伸ばす

手を振る子どもに　風が返事をして

故郷の空が　今日は少し明るい

あなたの笑いは今も　この空に溶けて

やさしく誰かの明日を照らす

生きた証は消えたりしない

拍手の波がいまも続いてる

ありがとう　ずっと忘れない

照明が落ちても　拍手は胸で鳴り続ける

また会おう　笑いのほうで

ありがとう　ずっと忘れない

あなたが生きたこの日々を