

「春場所は曙 」
朝モヤの中の 高台に ある公園のベンチで
彼女は何の前触れもなく そうつぶやいた
あるいは僕にだけそう 聞こえたのかもしれない
僕は彼女が話を続けるのをじっと待った
ルーマニアのデリカテッセンで作ったような
サンドウィッチを頬張り彼女は続けた
「夏は夜」 やっぱり枕草子だ
「白き灰がちになりてわろし」 「わろしってなんか笑えない?」
彼女が言った 僕はそのことについて少し考えてみた
「よくわからないな」 自信なげに答えた
彼女はまるで釧路湿原に生えた枯木にとまる
カワセミのような目をして僕を見つめた
「笑えないってこと?」 「笑えない」
「どちらかと言うと お菓子のネーミングみたいに聞こえる」
君はそのことについて考えているようだった
「いとをかし!」と言うと彼女は突然立ち上がり大きく足を上げ
四股を踏みだした
「やれやれ」
「曙が春場所で優勝したのは 2回よ」
「裏窓」のグレース・ケリーようないたずらっぽい目をした
彼女の言葉は 春風のように僕の心の中の
名前もついてない部屋をひと回りした それから彼女は
風のようにどこかに行ってしまった
- Lyricist
detchkun
- Composer
miomio
- Co-Producer
miomio, detchkun
- Recording Engineer
miomio
- Mixing Engineer
miomio, detchkun
- Mastering Engineer
detchkun
- Graphic Design
miomio
- Synthesizer
detchkun
- Vocals
miomio, detchkun
- Piano
miomio

Listen to A Breeze Called Spring~Or, Her Sumo-like Interpretation of The Pillow Book by demion
Streaming / Download
- ⚫︎
A Breeze Called Spring~Or, Her Sumo-like Interpretation of The Pillow Book
demion
This is demion's 22nd single release.
It's a song set to fictional lyrics in the style of Haruki Murakami.
Artist Profile
demion
Seriously playful, playfully serious. A curious little music unit where imagination takes the lead.
demionの他のリリース



