awaredo Front Cover

Lyric

awaredo

naiyo

朝の皿に

水だけ残る

飲めないほど

綺麗だった

あれは

たぶん

昨日の皮

剥いた覚えのない

白い膜

爪の半月

少し欠けて

そこから

古い日が漏れた

誰かの声を

畳む癖

まだ

治らない

されど

椅子は

一つ多い

座らないまま

部屋になる

あわれ、と

言いかけて

輪ゴムで

口を止めた

冷えた湯気

ぬるい影

どこへも

行かなかった顔

瞬きだけが

先に帰る

私は

後から

戸締まりをする

寂しい

ではなくて

もっと

名前のない

湿り方

悲しい

ではなくて

箱の底で

紙が曲がる音

好きだった

ではなくて

指についた

蜜柑の匂い

洗っても

ふと

戻る

あれ

どこに

しまったっけ

要らないのに

探している

あれ

どこで

終わったっけ

終わったのに

まだ

音がする

夕方は

いつも

少しだけ嘘

窓の外で

町が

茹でられている

電線に

黒い鳥

句読点みたいに

並んで

一つ

飛んだ

残りは

文章のふりをした

されど

夜は来る

偉いね

と

小さく思う

私は

ちゃんとしないまま

茶碗の縁で

口を切る

痛い

ほどではない

忘れる

ほどでもない

それくらいの傷が

いちばん

長く住む

あれ

どこに

しまったっけ

要らないのに

探している

あれ

どこで

終わったっけ

終わったのに

まだ

音がする

あわれ、と

言わないで

その言葉は

少し

綺麗すぎる

されど、と

言わないで

続きが

あるみたいで

怖い

だから

皿を伏せる

だから

灯りを消す

だから

何もなかったように

水だけ

朝まで

光らせる

  • Lyricist

    naiyo

  • Composer

    naiyo

  • Producer

    naiyo

  • Vocals

    naiyo

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