

【春】
夜を吹く風に乗り
月まで行こうと思う
雲を食べて暮らせば
いつか辿り着くさ
あさな鳴く鳥の春呼ぶ声
梅の花が香り立つ
胸を吹き荒れる嵐無くば
美しく見えたのに
霞立ち木の芽張る
晴れた理想郷
花流るる春の瀬
雨上がり
雪も溶けて
花のない街にも華が咲く
【夏】
夢の中に棲む君を
こちらへ連れて来よう
強く掴んだはずなのに
残るは一雫
夜に揺らぐ風の声を聴け
宵ももう明けてしまう
月を匿う雲の端から
朝が流れ込んだ
雨が降れば流るる
袖の香りも
待ち焦がれる心も
夏と秋行き交う空の
向こうには冷たい風が吹く
【秋】
色は匂へど散りぬるを
この身も枯れた葉も
風の赴くままに
秋雨にあへず散る
朝も夜も無くその日暮らし(朝も夜も鳴く、そのヒグラシ)
飽きが来るこの話に(秋が来る、木の葉無しに)
何を伝えるにも詞足らず
心が余るばかり
霧が立ちちはやふる
景色の中へ
溶けて消える君の背
風に乗るは香りばかり
朝霧の秋による神隠し
【冬】
雪も私も ふりまさり
年の果てが見えた
灰になり土になり
ついには春霞
雲の隙間から流れる雪
凍る池に映る影
髪に降り積もる雪払へど
頭は白いままか
月が欠けて世に降る
白い光が
化けて積もる白雪
誰のために目を覚ますのだろう
うたた寝に君を待つ夢籠り
- Lyricist
Nu:ll
- Composer
Nu:ll
- Producer
Johann
- Mixing Engineer
Tatsuki Kamiya
- Mastering Engineer
Tatsuki Kamiya
- Vocals
HIZIRI
- Songwriter
Johann

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Hanaichimonme
Nu:ll
『霞たち 木の芽も春の 雪降れば 花なき里も 花ぞ散りける 』
-古今集・春上9 紀貫之
古今和歌集の季節詩をイメージした曲です。
Artist Profile
Nu:ll
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