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“日本ジャズ・ヴォーカル界のファースト・レディ”マーサ三宅がトリオ・レコードに残した初ライヴ・アルバム。1973年7月、「エスパース・ジロー」で行なわれたステージは八城一夫、原田政長、五十嵐武要というベテランを迎え、まさに乗りに乗ったヴォーカルと円熟した大人の“もてなしの心”を堪能させてくれる贅沢な1枚。アナログ盤のA面がそのまま当夜のファースト・セット、B面がセカンド・セットの傑作集になっていると表現したくなるほど選曲・曲順が絶妙だ。おそらくマーサを始め、関係者の誰もが「どのレパートリーをレコードに残すか」の取捨選択に嬉しい悲鳴をあげたことだろう。日本語による丁寧なMC、歌詞の意味を紹介する箇所が収められているのも、臨場感を高めるのに奏功している。エセル・ウォーターズやカーメン・マクレイが絶唱を残した「サパー・タイム」(「サマータイム」と混同すべからず)、当時のポップ系シンガーもこぞって歌った「別れのときまで」、「黄金の七人」ばりのスキャットを聴かせる「レッツ・フォール・イン・ラヴ」などなど、乗りに乗ったパフォーマンスが嬉しい。
<メンバー>
マーサ・三宅:ヴォーカル
八城一夫:ピアノ
原田政長:ベース
五十嵐武要:ドラムス
録音:菅野沖彦
1973年7月8日 日比谷東宝ツインタワービル地下「エスパース・ジロー」にて