

目が覚める前に 親指が動き出す
通知の音で 呼吸を始める
無防備な寝覚めの 頭の中に
世界が今日も 飛び込んでくる
情報の濁流が 押し寄せる
瞳の奥で光だけが真実を語る
静寂の街並みに映像と音の波が押し寄せる
画面とスピーカのうねりに心を預けながら
表情を失くした顔でデータの粒子を吸い込んでいる
時計は静止をしているように見えても
時間はなにも告げないまま
映像の裏で削られていく
「まだ平気」と呟く声はアルゴリズムの中
時間は止まるはずもない、並行世界の時間も同じく
過ぎている
そのパネルの向こうで呼吸する
仮想と現実は同時進行
Swipe again 止められないまま
時間は指先でスクロールしてることに
気づかない
そのパネルの向こうに誘われ
現実を見失なっていく
Tap again 影すらデータに変え
僕らの鼓動まで記録されていることに
気づかない
今日の気分さえ誰かの評価で色を変え
「いいね」という不確実な共感の数で心臓が脈をを打つ
世界と繋がる接続は孤独を際立たせ
仮想の声だけが生きる証になっている
考えるより早く画面が答えを映す
自分の意思の形さえ
フィードの波に溶かされていく
意識の向きは現実ではなく、画面の中
現実と非現実、真実と虚偽の境界は
見極められない
そのパネルの向こうに翻弄され
記憶が上書きされていく
Swipe again 抗うことを忘れ
僕らの選択はすでに向こう側では
決められている
そのパネルの向こうで笑う陰
誰もが同じ姿に
Tap Again 自分の感情は
ペタバイトの海へ濁流と共に
流されていく
遠くで誰かの声が微かに届いた気がした
ほんの一瞬だけ現実が頬をつねった気がした
でも指先は止まらない
「あとすこしだけ」この言葉も既にテンプレート
そのパネルの向こうに翻弄され
自分自身がデータになる
Swipe again 夢と思っている物は
スクロールの底で息を潜めたトラップの
ダミーデータ
そのパネルの向こうに終わりは無く
命は無限のループの世界
Tap Again この指の動きを止め
その指を離すまで何も知らされず更新は
続けられる
通知の音が現実を目の前に映し出す
夜の闇の中 光るパネルを見つめ
気づかないフリをして
また親指を滑らせる
- Lyricist
ToshiZo
- Composer
ToshiZo
- Producer
ToshiZo
- Programming
ToshiZo

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Beyond the swipe panel
ToshiZo



