車の窓から流れる景色を見つめた
だんだんビルが減って住宅が減って
送電鉄塔の下には一面の緑
車が夕日を撒き散らして走っていく
小学生の僕には東京が好きな人もいるなんて
この景色よりビルの明かりを選ぶ人もいるなんて
考えもつかないことだったんだ
だって僕にとってはそれが異世界だったから
友達がいない僕にとって夏休みは惨めなものだった
十歳過ぎて大人びる同級生たちが
夜の理科室に忍び込んだことを自慢げに語っていた
僕にはわからなかった
かっこいい服を着ること
先生に従わないこと
汚い言葉を使うこと
女子を馬鹿にすること
群れること
流行りのゲームのこと
それから人と上手く話すこと
何もすることがない僕を見かねて
両親は毎年お盆に里帰りをするようになった
夏休み唯一のビッグイベント
孤独な現実を横浜に置いて
北へ北へと逃避旅行
川で遊んで
バーベキューして
湖を泳いで
犬と遊んで
虫取りをして
夜になったら親戚の子達と怪談をするんだ
座敷童が出てくるまでさ
ある時はひたすら星空を眺めた
街の明かりが掻き消していた光が僕に降り注いだ
僕は色んなことを知った
星に名前があるってこと
天の川は本当にあるってこと
人工衛星は見えるってこと
シリウスが一番明るいってこと
流星群は美しいってこと
流れ星に祈る方法
「金金金」って三回唱えること
(今の僕にはわからない)
ああもう僕の心には
幼き日の感覚の残滓が残るばかりで
(夏の匂いはもう消えた)
フラットになっていく感情が怖い
過去回想の中にさえもう僕の居場所はない
(失せていく感覚を)
生きているという感覚を
感じて生じる感情を
覚えてやっと殺せる憂鬱
(取り戻そうとしている)
存在理由
それは己の中にある
取り戻したいんだ何もかも
(今の僕にはわからない)
取り戻したいんだ
何もかも
(夏の匂いはもう消えた)
取り戻したいんだ
全部 全部ね
(失せていく感覚を)
こんな憂鬱に浸っていられないよ
(取り戻そうとしている)
また歩き始めたいんだ
君は僕を嗤うか?
「とんだ馬鹿だ」と言って
- Lyricist
Yamazaki
- Composer
Ramhead
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