Exhibition Room 13 Front Cover

Lyric

Exhibition Room 13

yuzo kawanami

雨の匂いを失くした花が

硝子の中で咲いていた

誰かの理想を模写したまま

季節だけを名乗っている

案内人の居ない廊下を

静かな靴音が流れてく

「特別展示」の札の奥で

拍手だけが保存されていた

額縁の中の青空は

一度も風を知らないまま

綺麗なままで飾られて

出口の場所を忘れていた

第十三展示室の奥で

唯一無二が整列している

違う羽根を掲げながら

同じ高さで揺れていた

名前を叫ぶ声の群れが

ひとつの響きに溶けていく

眩しいほどに輝く標本

誰の記憶にも残らない

羽根の模様を競う鳥が

空の話を繰り返してる

飛んだことなど無いくせに

雲の形だけ知っていた

鏡のような水面には

無数の月が浮かんでる

本物を映しているのか

誰にも分からないまま

自由を並べた棚の上

規格通りの夢が眠る

触れれば崩れる温度だけ

綺麗に切り取られていた

第十三展示室の奥で

今日も誰かが飾られている

特別という名の制服を

誇らしそうに纏いながら

違う色だと信じるたび

少しずつ色を失って

気付けば同じ額縁の中

静かに笑っていた

閉館を告げる鐘が鳴る

誰もいない展示室で

名札の外れた蝶だけが

初めて風を思い出す

  • Lyricist

    yuzo kawanami

  • Composer

    yuzo kawanami

  • Producer

    yuzo kawanami

  • Other Instruments

    yuzo kawanami

Exhibition Room 13 Front Cover

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