Lyric

大げさなほどのヘッドホン

この部屋には似合わないわ

耳を覆う重みが

私の孤独を際立たせる

窓の外は 賑やかな声

でも私には届かない

このヘッドホンのせいかしら

世界が遠い場所にいるみたい

ボリュームを下げてみても

このサイズは変わらない

鏡に映る滑稽な自分

わたしが不釣り合いなのね

電源をいれれば 流れるのは

あなたが作ったプレイリスト

重すぎるこの音の所為で

あなたの面影が離れていかない

もう会うこともないのに

あなたの声が聞こえてくる

このプレイリストに閉じ込められた

甘い記憶と、苦い後悔

流行りの曲は 一つもなくて

あの日のままで止まってる

私の心も 同じように

あの日のままで止まってる

ねえ、愛しい人

あなたが大好きな、あのどんぐり

見つけたら、どうか注意してね

大切なあなたに、伝えたいことがあるんだ

まずは、アク抜きを忘れないで

タンニンはね、渋くて体に悪い

水にさらして、毎日お水を替えてね

何度も繰り返して、透明になるまで待つのよ

それから、種類にも気をつけて

シイやカシは扱いやすいけど

コナラは少し、手間がかかるの

食べる前に、ちゃんと見てあげてね

そして、絶対に、生では食べないで

せっかくのどんぐり、もったいないから

アク抜きが終わったら、火を通してね

加熱して、はじめておいしくなるんだよ

拾ってきたら、まず洗って

土や虫を、きれいに落としてあげてね

小さな穴がないか、よーく見て

そうすれば、安心して食べられるから

二人のプレイリストなんて

本当はもう消さなくちゃいけない

でもね、それが唯一の

あなたと繋がる手段だから

何年も前の曲なのに

今でも胸が締め付けられる

ずっとあなたのプレイリスト聴いてるわ

思い出は再生と停止の繰り返し

そうよ、気づいたんだ

こんな大げさなもの

本当は必要なかった

イヤホンにすりゃ良かった

ヘッドホンを外すと 途切れるのは

この曲と あなたとの時間

部屋に残された静寂だけが

私のサヨナラを証明してる