Lyric

朝もやに霞む森の湖

静かな空に響く　鳥のさえずり

木々のあいだを　︎すすむ足音

年季の入った　釣り竿が揺れる

早起きのおじいさん

ほとりに腰を下ろし

まだ見ぬ湖のヌシを狙っている

逆立ちの山を映す水面に

つり糸が描く波紋　ひろがってゆく

陽射しのにおいが輪郭を包み

草木のキラキラ　鼻唄を誘う

腹ペコのおじいさん

朝ごはんを広げて

ひとまず　休戦協定　結んでいる

むかしむかしに父親とともに

磨いた腕前　いつの日か　きっと

年老いたおじいさん

譲り受けた釣り竿

長年　染みついた技で　狙っている

うたた寝に霞む森の湖

大きな黒い影が　横切ってゆく