Jul. 2023. Pigeons. Front Cover

Lyric

Jul. 2023. Pigeons.

The OTO Monthly

感覚のない温度が徐々に湧いてきたら、

西陽の中に鳩が飛んでいた。

堪える恋歌モノや

尽くし切った哀歌モノを

すぐに書ける様な不幸も

碌に持たないのに、

汚れた鳩を避ける様な

下らない不幸の避け方が

腑に落ちないままに端歩いた。

愛すには程遠い夢への足踏みを

焦って泣いてみるが、あくまで素振りで。

もうどうにかなってしまえばいい、こんな世の中は。

絶望のふりも、たかだか素振りで。

叫ぶに足らない小刻みな不幸は、

日々の歩みかたを映した様だ。

そんな心を模した声は、

省みる間も無く綻ぶほどに

こだませず。

陽が沈んだすぐ後のトンネルと幼い幸せを

僕はきっと通り過ぎた。

まだ

愛すには程遠いと思えてるうちに、

その涙を抑えて堂々の沈黙を。

「もうどうにかなって仕舞えばいい」と言う割に合わぬ程の

ライトなバッドエンドにひんやり夜は降る

  • Lyricist

    The OTO Monthly

  • Composer

    The OTO Monthly

Jul. 2023. Pigeons. Front Cover

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