感覚のない温度が徐々に湧いてきたら、
西陽の中に鳩が飛んでいた。
堪える恋歌モノや
尽くし切った哀歌モノを
すぐに書ける様な不幸も
碌に持たないのに、
汚れた鳩を避ける様な
下らない不幸の避け方が
腑に落ちないままに端歩いた。
愛すには程遠い夢への足踏みを
焦って泣いてみるが、あくまで素振りで。
もうどうにかなってしまえばいい、こんな世の中は。
絶望のふりも、たかだか素振りで。
叫ぶに足らない小刻みな不幸は、
日々の歩みかたを映した様だ。
そんな心を模した声は、
省みる間も無く綻ぶほどに
こだませず。
陽が沈んだすぐ後のトンネルと幼い幸せを
僕はきっと通り過ぎた。
まだ
愛すには程遠いと思えてるうちに、
その涙を抑えて堂々の沈黙を。
「もうどうにかなって仕舞えばいい」と言う割に合わぬ程の
ライトなバッドエンドにひんやり夜は降る
- Lyricist
The OTO Monthly
- Composer
The OTO Monthly
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Jul. 2023. Pigeons.
The OTO Monthly