Lyric

世界がこんな風になってしまって何度目かの朝に

南極の氷が溶け出して九州地方に降り出すというニュースが流れてきた

大切な人の顔を思い出してみるけれど

浮かべた顔はなんか悲しそうで

差し伸べた手は宙を舞うどころかチャンネルさえも変えられない

雨は明日も降るらしい

Yes. 認めよう

こんな時に僕は無力だ

八月の熱帯夜

AM1時の公園では春に迷子になったきりの若者たちが線香花火に耽っていた

いつまでもずっとこのままで

火花に期待を寄せるけれど結果は誰もが知る通り

夏休み一個分の距離だけ離れたところに立ってる二人が

今夜、産まれてはじめての永遠を叶えられますように

名前も知らない若者たちの幸せを祈って僕は曇った東京の空に流れ星を探してみた

星に願いを

街から街へと旅をしながら息を吸っていた吟遊詩人たちが

肩書きを失ったまま道端で宴会なんか始めたもんだから

お巡りさんがピストルを撃ち鳴らして怒鳴りこんで来たんだ

ポケットの中身を見せろって言うけれど

本当に困った顔で一人がお巡りさんに問いかけた

「何もかも失って閉じ込められた僕たちのポッケに一体何が入っているというのでしょう」

本当は夢や希望が入っていたはずなのに

お巡りさん、僕たちの落とし物が交番に届いてはいないですか？

深く潜る

心の中だけで踊る踊る

闇が濃くなるにつけて上がっていくスピード

押さえきれなくなって飛び出した深夜高速で僕は

リュウグウノツカイを追い越して

チョウチンアンコウをすり抜けて

君に会いに行く

代わりのないものがあるなんて思い知らされて

君に会いに行く

「またね」が通じなくなった世界で

「さようなら」が近くなった世界で

それでも君にしか出来ない事が僕の中にはある

もうすぐ朝だ

僕らしかいなくなったこの世界でいつかこの時の事を歌いながら思い出すに違いない

工場生産のサンドウィッチを頬張りながらそれでも美味しい美味しいと笑う君の笑顔を

夏休み一個分の距離を縮めたくて今日、僕はここにこんな風に君に会いに来たんです

いつまでもがなくたって今だけは見ていたいものがある

話したい事がたくさんあったはずなのになぜか言葉はもう要らない

BGMにしてたTVのニュースが教えてくれたけど

九州地方に降り続いた雨も止んだらしい

Yes. 言わせておくれ

それでも人生は素晴らしい