この瞬間だけ、終わらないでのジャケット写真

歌詞

手を離す直前で

YxY

人の流れに紛れるように、

少しだけ後ろを歩いていたのは、

並んでしまうと終わりが近づく気がして、

距離を測ることで誤魔化していたから。

改札へ向かう階段の途中で、

あなたが立ち止まるタイミングを待っていた。

いつもなら気づくはずのその仕草も、

今日はなぜか見ないふりをしてしまう。

ここで何か言ってしまえば、

全部変わってしまいそうで。

手を離す直前で、

まだあなたの温度が残っている。

言葉にしないままでいることが、

一番近くにいられる気がしていた。

手を離す直前で、

このまま止まればいいと思った。

進まない時間の中でだけ、

ちゃんと繋がっていられたから。

ホームに入ってくる電車の音が、

思っていたより早く近づいてくる。

何も決めていないままの関係を、

終わらせるには十分すぎる合図だった。

あなたが少しだけ近づいた距離に、

触れていい理由を探してしまう。

たった一歩分のその隙間が、

どうしても越えられなかった。

名前を呼べば戻れないことを、

お互いに知っていた気がする。

手を離す直前で、

何も始まらなかったことを知る。

それでもここまで来た時間は、

なかったことにはできなかった。

手を離す直前で、

少しだけ力を抜いてみた。

繋ぎ止める理由がないことが、

一番正しい気がしてしまった。

「またね」

その一言だけで十分だったはずなのに、

離れていく現実のほうが、

ずっと重たく残った。

手を離す直前で、

ようやく終わりに気づいていた。

何も言わなかったことさえ、

間違いじゃなかったと思いたくて。

手を離したそのあとで、

少しだけ空気が軽くなった。

繋がっていた時間のぶんだけ、

ちゃんと離れていけた気がした。

指先に残っていた温度が、

少しずつ消えていった。

  • 作詞者

    YxY

  • 作曲者

    YxY

  • プロデューサー

    YxY

  • ボーカル

    YxY

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