

窓を開けたあとも
部屋の空気だけ
変わらなかった
本を閉じる音がして
夕方が少し
深くなった
テーブルの上には
空になったマグカップ
誰もいないのに
そこだけ時間が残っていた
思い出そうとしているわけじゃない
忘れようとしているわけでもない
ただ
ふとした瞬間に
同じ空気を吸ってしまう
残香だけ
残っていた
名前もないまま
残っていた
言葉じゃなく
景色でもなく
もっと曖昧なものとして
カーテンが揺れて
光が少し動いて
部屋の輪郭だけが
静かに変わっていく
あの日と今日の違いを
探してみても
見つかるのは
小さなことばかりだった
読みかけのページ
少し冷めた空気
窓の外の薄い雲
そんなものだけが
妙にはっきりしていた
残香は
匂いじゃなく
時間の形だった
消えたはずなのに
まだそこにある
触れられないのに
ちゃんと残っている
夕方が夜へ変わる頃
部屋の中だけ
少し遅れていた
残香だけ
残っていた
何かを失ったあとじゃなく
何かがあった証拠みたいに
静かに
残っていた
- 作詞者
YOHAKU
- 作曲者
YOHAKU
- プロデューサー
YOHAKU
- ラップ
YOHAKU

YOHAKU の“残香”を
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