歌詞

絡まる糸を たぐる

祈るように たぐる

私のお人形

指が動く

ほつれた糸を這い回り

頬に触れる

垂れ下がる髪

まなざし 瞬き

黒目がちの瞳

ひとり

窓の先の闇を含み

「おじさん このホテル

たかいんでしょ？

おじさん もう こんなになってる

虚栄心 なめていい？

ねえ おじさん

きもちいい？

それとも おじさん

むなしい？

おじさん むなしい？

ねえ むなしい？」

たくさんの男の人に買われた

悲しくない

お金を貰えても 嬉しくない

失くしたくない大切なものも

手にしたい大切なものも

何も ない

張りつめた 糸を たぐる

1㎠のパケ袋

氷砂糖に似た結晶

蛍光灯 反射した

混ぜ物ゼロの東京

帰りたかった あの家が

おぼろげに浮かぶ道路

消えたいと思えるほど大切な私も

もう いないの

「もっと 舌 よう使わんと」

「歯 ぶち折るど ねぶれや」

「十五のガキが」

「コケシ突っ込みよって」

「どないしょうもないわ」

「おしまいや」

「親おったら悲しむで」

「ケツ向けえやコラ」

「一生クソ垂れ流しにしたらあ」

「力抜けや！ボケが」

こと切れた か細い糸

キラキラした ビル 街灯

いろんなものを見てきたよ

話したら きっと びっくりするよ

それぞれ事情があるから

みんな同じ ひとりぼっちのお友達

いつも一緒にいてくれたね

優しい子は寄り添ってくれたね

やっぱり神様はいなかったよ

ごめんね　ごめんね

お話がおしまいになったって

どこにだって帰れやしないから

みんなが忘れてくれるまで

何度も泣きそうになって

目を つむるんだ