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大仰なアリーナ向けのリバーブ(no arena reverb on drums)や劇的なコード解決、あるいはサビでのエモーショナルな高揚(no uplifting production lift in chorus)を徹底的に焼き尽くし、1990年代中盤の重苦しいグランジとスローコアの気怠い膠着(Dark grunge, slow-core)を融合させた、逃げ場のない密室の飽和音響です。BPM96-104の、内側に引きずるような無骨な4/4拍子。左右のワイドステレオに配置された荒々しく歪んだエレキギターがアタックの強いバレーコードを執拗に掻き鳴らし、低域ではベースがキックより僅かに前を走ることで、低中音域が相互にマスキングされてエッジが程よく潰れた独特のフェイズ・スマア(位相のズレ)を発生。耳にざらつくスネアの直撃と、聴覚より先に身体に圧をかける重低音のキックが、一切の余韻を許さないタイトな空間(medium-ambient room)を構築しています。
歌詞の核となるのは、コンテクストを力でねじ伏せるフラットな現実主義。「椅子の上に残されたコート、君のいた場所に残る輪郭、触れた瞬間にすべてが手遅れになるという冷徹な諦念。理想の明日を完全に拒絶し、引き延ばされた停滞のなかにただ佇む男の平熱の独白」。あえて裏声(no head voice)を完全に封印した、残響ゼロの超至近距離チェストボイス(dry-forward vocal)は、ピッチ補正(autotune)を頑なに拒絶。感情の負荷によって水分量が不安定に揺らぎ、言葉の節々から生々しい呼吸が漏れ出すぶっきらぼうな歌い回しが耳元に張り付きます。最後はフェードアウトを真っ向から拒絶し、リフレインの途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致を提示する大傑作です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。