千年後の僕らものジャケット写真

歌詞

ノラエのテーマ

ユキニフル

少しだけ雨は弱まり、わずかに開けた視界。

きっと通信も開く。

「こちら、ミゾハ」

応答を待つ。

代わりに短く鳴る電子音。

音楽と呼ぶには取るに足らない、通話を待つ間にだけ流れる音。

「こちら、ノラエ。ミゾハ、元気そうで良かった。聞こえるかい」

「うん、大丈夫」

わたしの世界に、温かい音が加わった。

「探しものは見つかった?」

「いいや、まったく。ミゾハはどう?」

「どう、かな……。あと、もう少しだって気もするんだけど」

「そっか。でもたぶん、ぼくは、君よりは先に見つけられるよ」

「どうして?」

「ぼくは先に旅に出ているから」

「なぜ、それが理由になるの?」

「さあ、なんでだろうね」

ノラエは笑う。

捜索隊のなかでたったひとりの友達。

ノラエは世界に残された物語を心から探し求めている。

「ぼくの旅が終わったら、教えてあげるよ」

ノラエが言う。

わたしは言葉に詰まって、何も返せなかった。

「それじゃあ、ぼくは地下に潜るから……通信はまたあとで」

途絶えるノラエの声。

  • 作詞

    宏川 露之

  • 作曲

    ein himinn

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あなたにとっては、ずっと遠い未来の彼方。草木はビルの壁を覆い、都市の骨組みは朽ち果てて、風は絶え間ない悲嘆を繰り返していた
雨の強い日には、街路は水しぶきを上げ、この街に、この世界にあったはずの物語の足跡を洗い流そうとしていた──。

終わりを迎えた世界で旅を続ける少女、ミゾハ。はるか昔に世界から失われた「物語」を探す捜索隊の一員として、同じ捜索隊の少年ノラエと、互いに通信機で励まし合いながら目的地を目指していた。彼らが旅の最後に見つける答えとは……。

全編を通じて朗読と音楽により物語世界が繰り広げられる、ユキニフル初の朗読音楽劇。

アーティスト情報

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