歌詞

しずくの道が月にほどけて

足もとで小さく光る

ぬれた舗道に灯りが揺れて

傘の雫が息を刻む

猫がしっぽで合図をして

胸の鼓動がゆっくりそろう

指先に触れた涼しい風

深く吸いこんで目を細める

こよいのしずくをたどりながら

今日の言葉をほどいていく

やわらかな光のリズムのままに

明日の入口を見つけ出す

ガラスに映るふたつの影

ベンチの木目が道しるべ

猫のひげがきらりと揺れて

笑みがひとつこぼれ落ちる

静かな水音が遠くで鳴り

胸の呼吸がそっと整う

こよいのしずくをたどりながら

言葉はそっと澄んでいく

夜の青さのぬくもりだけ

胸にしまって歩いてく

雲の切れ間に星がひとつ

街の気配が薄くなる

猫が足もとすり抜けて

角の向こうへ導いてくれる

置き去りの傘が風に鳴って

落ちた雫が輪を描く

ポケットのメモ一枚

「今日はここまででいい」

こよいのしずくをたどりながら

今日のページをとじていく

やさしい灯りに手をひかれて

明日のページをひらいていく

同じテンポでならぶ足音が

静かな終止にほどけていく

ラストの水たまりを越えて

猫に「おやすみ」をそっと言う