Lyric

髪を撫でる手 愛しく憎く

這い回る舌 悍ましい

泡沫 露の世 刹那に溶けて

裏腹 宵の瀬 狂い咲き

零した嘘の 音の数だけ

華やいだ曼珠沙華

滴る雫は色付き

冷たい薬指

その首筋に一条の紅

色を呼ぶ声 虚しく響く

纏い付く影 妬ましい

十六夜 臥待 御身は枯れて

有明 陰りし 墨流し

零れた呪詛の 賦の数だけ

泣き濡れた沈丁花

色付く蠱毒は蝕み

冷たい薬指

この首筋に一条の紅

腐り落ち溶け合った

うつつの仮初め

寄り添い

物言わぬ髑髏

蝕む孤独は去り行き

残花に抱かれて 永久の睡り

鈍色の傍らに一条の紅