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妖狐の嫁入り

  1. 妖狐の嫁入り

浅葱ソロアルバム「斑」収録曲「白面金毛九尾の狐火玉」の前日譚であり、Dの既存曲「狐塚」の後日譚にあたる物語になります。真っ赤な彼岸花が咲き乱れる畦道を花嫁行列がぞろりと歩くと、天気雨が降り出しました。晴れているのに雨が降ることを狐の嫁入りと呼びますが、これはこの天候がまるで狐に化かされているかのように思えることからや、かつては心から喜ばしい婚礼ばかりではなかったことから、花嫁が泣いているという意味も込めてこの不思議な現象を狐の嫁入りと呼ぶそうです。現代でも花嫁行列の際に儀式的に狐面を被ったり、日本各地で狐の嫁入りの話が残されています。その昔、狐狸は人と身近であったことからこのような伝承が残されたのでしょう。異様でありながら一度聞いたら忘れられない音色が流れる中、美しい花嫁と一行は静かに静かに嫁入りするのでした。ですがその静けさと相反する心は、これから嫁ぐであろう遠方に見える城を見て嘲るのでした。生憎スケジュールの都合で実現しなかったのですが、当初はMVを撮ろうと思っており、その時のイメージとしてはかなり恐ろしげな絵が撮れただろうなと思っています。歌詞のからから、けらけら、ころころ、くつくつは笑い声の擬音語(オノマトペ)ですが、文字にする少々不気味さを醸し出しますね。Dの「狐塚」では帰らぬ我が子への想いを描いていますが、原因が人間であるとははっきり書きませんでした。時を経ても九尾の狐の悲しみは薄らぐどころか強まるばかり。そしてついに我が子を殺めたであろう人物を特定したのです。狩りと称し、生きるためではない殺生を繰り返す者。それはその地を治める名ばかりの殿でした。九尾の狐の子だけでなく、多くの生類は戯れに殺められ、その果てた骸は山に打ち捨てられました。心無い人間を憎み、復讐を誓います。妖艶で美しい九尾の狐は高貴な姫御前に化けて惑わし、その美しさに見惚れた殿はすぐに求婚しました。ですがそれこそが復習の始まりであり、ことは面白いほど上手く計画が進みます。その夜、稲荷寿司(油揚げで包んだ寿司飯)を食べていると、好物ゆえに九本の尻尾が露になりました。それを目にした家来は慌てて殿に玉藻前が妖狐であることを告げますが、惚れた弱みか殿は家来を信じず斬り捨ててしまいます。そして二人きりになると、弓遊びの後に我が子を殺めたであろうと問いただします。九尾の狐にとっては掛け替えのない愛し子ですが、殿にとっては射止めてきた数えきれぬほどの標的の一匹です。当然覚えているわけもありません。殿が子狐のことを覚えていようが覚えていなかろうが、必ず仇は討たれたでしょう。ですが、奪った命をあまりに粗末に扱う人間を目の前にし、もはや怒りと悲しみを携えた想いを抑えることはできませんでした。「壱師の花」とは古語で彼岸花のことなのですが、炎を彷彿させることと、根に毒を持っていることから用いました。彼女の艶やかな美しさと、心根に隠した毒々しさに相応しい花とも言えます。また通称「狐花」や「狐の松明」とも呼ばれており、彼岸花を持ち帰ると火事になったり、死人が出るとも言われています。九尾の狐の怒りは彼岸花のように赤く燃え盛り、その火は城に燃え移ります。着物を翻し、逃げ惑う殿を狂ったように追い詰めると、ついに首を食いちぎり、頭を高く掲げて復讐を果たすのでした。サビの背景では焼け落ちる城を背景に、笑みを浮かべながら宙に浮いているイメージです。千年の時を経て尾が九つに割れると言われている九尾。人知れぬ過去には喜びと悲しみが入り混じり、この世に残した想いの強さが長き命と霊妙自在な力を与えたのかもしれません。赤い血で穢れた白無垢。仇を討てど愛し子の命は返らず、この想いが消えることは決してありません。袖から竹筒を取り出すと、放たれた管狐は主である九尾の狐の命により、城に残った者らを一人残らず殺めました。管狐とは竹筒に入るくらいの小さな狐達(最大、七十五匹)なのですが、主の言いつけ通り、恨んだ相手に不幸を齎すと言われています。妖力が強ければ強いほどこの管狐達も力を蓄えることができます。嫁入り時の介添えは仲間の狐であったり、この管狐が人に扮していました。伝説では後に玉藻前は退治され殺生石となり、更には破片は各地へ散ったとされていますが、僕の物語上では死んでおらず、今もなお生き続けています。この殿への制裁だけに限らず、各地の悪しき権力者を惑わし、喰らっているものとしました。アウトロではその九尾の狐の魂がふわふわと各地を旅をしている様を表現しています。「白面金毛九尾の狐火玉」はこの話の後日譚ですが、今日もどこかで愚かなる男を騙しては喰らっていることでしょう。

浅葱

浅葱(ASAGI) Dのリーダーであり、有限会社GOD CHILD RECORDSの代表を務める。Dでは全楽曲の作詞、またメインコンポーザーを担い、作品のシナリオとトータルアートをプロデュースしている。 【D活動履歴】 2003年4月、Dを結成。自社、有限会社GOD CHILD RECORDS を立ち上げ、精力的に活動。動員やセールスを増やし一気に注目を集める。リリースされるCDが軒並みオリコンインディーズチャート1位を獲得。総合チャートでも上位を記録し、2006年末には渋谷C.C.Lemon ホールをソールドアウト。2007年秋、Smile Companyとマネジメント契約。2008年5月7日シングル「BIRTH」でavex traxよりメジャーデビュー。オリコン週間シングルチャート(5月17日付)にて初登場8位を獲得。その後も「闇の国のアリス/波紋」などリリースする作品がゲームや映画、TV 番組などのタイアップとなり、軒並みオリコンチャートTOP10入りを獲得する。(「SnowWhite」では自身最高位となる6位を記録)メジャー1stアルバム「Genetic World」を発売。(オリコン週間アルバムチャート初登場11位)2011年1月にはヴァンパイアコンセプトを掲げたフルアルバム「VAMPIRE SAGA」をリリース。海外盤も発売し、世界進出。初のEUツアー(7カ国10公演)を大盛況のうちに終える。また、アメリカでは全米第二位のイベント「A-KON」にメインアクトとして出演。世界にDの名を広める。2013年4月、10周年を迎え渋谷公会堂にてSpecial Premium Live「Bon Voyage!」を行い、ビクターエンタテインメントとの再メジャー契約を発表。2014年には47都道府県ツアーを行い、12月にはファイナルの舞浜アンフィシアター公演をソールドアウトし、大盛況のうちにツアーを終える。ASAGI の顎関節症により活動休止するが、2015年8月29日の赤坂BLITZ にて復活。2階席を含めた完全ソールドアウトとなる。2015年9月16日にリリースした最新シングルHAPPY UNBIRTHDAY はオリコンデイリーチャート最高位10位、ウィークリーチャートでは初登場14位にランクイン。そして 2016年4月、ソロとしてもメジャーデビューを果たす。 Dの創り出す唯一無二の独特の世界観は、ティム・バートン監督にも愛されている。

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GOD CHILD RECORDS