歌詞

小さなため息　グラスの氷に溶けて

夜更けのワルツ　ストローが鳴らす拍

雨上がりの道　香るアスファルト

ふくらんだポーチに　内緒の色がひとつ

信号待ちの間に　唇そっとなぞる

「平気だよ」のかわりに　艶を少し重ねた

言い訳よりやさしい　膜を一枚

鏡越しの私へ　おやすみの合図

プルンプルンのリップ　揺れる街灯（ひかり）をすくって

言えない台詞（ことば）まで　やわらかくしてくれる

キスじゃなくても　キスみたいに

壊れやすい今日を　そっと包む

プルンプルンのリップ　頬についた不安も

ひと塗りの魔法で　甘くほどけるから

La, la, la…

カップの縁（ふち）に　口紅の三日月

読めない占いみたいに　未来を指でなぞる

遠回りの帰り道　コンビニの白い明かり

“またね”が上手く言えずに　靴音だけが進む

ためらいの輪郭を　やさしく描いたら

ほどけた心拍が　静かに合う

プルンプルンのリップ　夜風が頬をさらって

震えた声の端　艶で縫いとめる

キスじゃなくても　キスみたいに

言葉になる前の　本音へ触れる

プルンプルンのリップ　眠れないページに

しおりみたいな光　そっと置いていく

遅い時間のバス　窓に揺れる街

通知は来ないまま　心だけ鳴っている

“強がり”を脱いだら　少し冷たいけど

リップの甘さくらいで　ちょうどいい夜

終わらせるよりも　始め直すように

薄く重ね塗りした　勇気を連れて

もし明日がうまくいかなくても

このやわらかい膜が　守ってくれる

笑い方より　泣き方の練習

にじむ分だけ　やさしくなれる

プルンプルンのリップ　涙の味ごと

甘く抱きしめて　夜明けまで連れてって

キスじゃなくても　キスみたいに

「大丈夫」にまだ届かない私を包む

プルンプルンのリップ　ポケットの月灯り

ほどけた今日を　もう一度結ぶ

ケースの“カチ”で　音が止む

体温だけ残して　やわらかく眠る