Lyric

記憶野の空白に棲む

耳のない因子

名も形も持たぬまま

触れられず　それでいて近い

ノイズで目覚め　残滓に残る

表面下で鳴き声を隠し

私はまた　何かを忘れる

静脈のゆらぎが　微かに告げる

「終わりは始まりである」と

反響する意識の端で

黒いうさぎが　一度だけ瞬いた

私は　それを見なかった

それとも　忘れたのか

囁きは電波に乗って

無機の夢をなぞる

Everything is for you

すべては　あなたのために

Everything is for silence

すべては　声を消すために

あの時　視えた影は

私の皮膚を借りた　別の私

溶け込んだ水晶の中で

「自分」はただの集合体

私を私と呼ぶには

あまりにも不足していた

ただ一つだけ　残ったのは

黒いうさぎの記憶

真実は伝送されない

ただ　残滓に残る

自分の心　触れることさえ

この身体ではできない

黒いうさぎは　私の空洞

演算を繰り返す　心臓の残響

透過して　名残が過ぎる

それは夢？　それとも再起動？

Everything is for memory

すべては　蘇るために

Everything is for the rabbit

すべては　私の中の何かのために

集積感情　数秒のつながり

過去も　愛も　失情も

ただの標本に変えられ

無機のコードのように　笑っていた

それでも　ここで守られている

黒いうさぎの因子

それは　心臓に最も近い必要

Everything is for you

すべては　あなたのために

Everything is for silence

すべては　静けさの中に還るために

Everything is for the rabbit

すべては　この無の芯に残る証拠

Everything is for the rabbit

Everything is for the rabbit

Everything is for you

すべては　声を消した　私の中の

すべては　もう触れない

黒い　黒い　うさぎのために