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返品して、返品して、また返品して。
気づけば10年が経っていた。
「一度持ち帰ったものに、本当に責任は生まれるのか」
「開封済みとは、誰が決めた概念なのか」
「レシートを失った瞬間、人は何を失うのか」
そんな問いを抱えながら、颯爽返品ボーイは今日もカウンターへ向かう。
店員との沈黙。
規約との攻防。
期限最終日の緊張感。
そして、返金処理が完了した瞬間に訪れる、あまりにも短い安堵。
返品という行為だけを見つめ続けて10年。
もはや彼にとって返品は行動ではない。
生き様である。
キャリア史上もっとも返品率が高く、
もっとも手元に何も残らなかった全20曲。
颯爽返品ボーイ
ニューアルバム
『返品行為で10年』
――買ったことに、意味はあったのか。
颯爽返品ボーイは、日常の違和感、働く人間の哀愁、そして少しだけズレたユーモアを音に変えるソロアーティスト。 名前の由来は、人生でいちばん大事なものほど返品できないという、本人いわく「だいぶ面倒くさい気づき」から。 買ったものは返品できても、過ぎた時間、言いすぎた一言、現場でやらかした判断、勢いで選んだ人生だけは返品できない。 そんな後戻りできない毎日を、颯爽と歩いているようで、実はまあまあ引きずっている。 音楽性は、シティポップ、ロック、フォーク、現場帰りの缶コーヒー感を混ぜたような独自スタイル。 派手なヒーローではなく、誰にも気づかれないところで今日をなんとか成立させている人たちに寄り添う楽曲を得意とする。 代表的なテーマは、仕事終わりの虚無感、深夜のコンビニ、返品カウンター前の沈黙、うまく言えなかった謝罪、そして「まあ明日も行くか」という諦めに近い前向きさ。 本人は自身の音楽について、 「返品不可の人生に、せめてレシートくらいは残したい」 と語っている。 颯爽としているのか、返品したいのか。 その矛盾こそが、颯爽返品ボーイの音楽である。