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1990年代後半の東京の片隅にあったインディーズの地下実験室(small-studio sound)の空気感をそのまま封じ込め、過剰な音の装飾やドラマチックなカタルシスを徹底的に焼き尽くした、極限までフラットなオルタナティヴ・ロックです。BPM76の遅れを伴う静止した推進力(flat stationary momentum)。イントロからヴァースにかけては、コード進行の解決を拒絶した持続音(sustained chord pads)の上を、クリーンなエレキギターの単音(clean electric guitar single notes)だけが拍をあえて外しながら静かに這い回り、ベースの極小の動きと、ほとんど聴こえないクローズドハイハット(barely audible closed hi-hat)だけで構築された冷徹な空間を維持しています。
歌詞の核となるのは、コンテクストを完全に排除した「壁一枚の実存」。「夜10時に隣の部屋から聞こえる水の音、同じ夜に別々に眠るという事実に、ただそれだけでいいと納得している平熱の独白」。平仮名だけで綴られた不安定な輪郭の言葉たちが、ピッチ補正(autotune)を完全に拒絶した超至近距離のセンターボーカル(centered and slightly recessed vocal)によって淡々と紡がれます。中盤のブリッジで、抑圧された感情の漏れ(vocal cracks)を僅かに滲ませる重ねられた声のモノローグを経たのち、最終セクションではフルバンドの爆発を敢行せず、あえて最初の4小節のミニマルなセルへと回帰。最後は自動フェードアウトを拒絶し、1本のギターの単音が細く伸び、その残響が鳴り響いている途中でリミッターがゲートをプツンと完全遮断(ends mid-ring)する、引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。