

うだつの上がらない瞼
残念に萎れた背骨さえ
幾許かの妥協を重ねて
針をゆっくりと回す
単純で不快な日常でも
反復は意味を帯びてくる
「何かが変わる」と思う間に
何かに変わっているんだ
僕らはそれを食べている
チクタクと不器用に泣く 鳴く 啼く
胎の底で淡々と刻むよ
ゆりかごの希望も墓場まで
煤けて土に還るそうだ
時間だね
今日を数えていよう
きっと報われるだろうから
時間だね
今日を叫んでいよう
ユートピアはまだ曇りらしいね
巨大な鉄の棺桶に
満たされた平凡と諦め
張り巡る湿気た蟻の巣で
脳味噌溶かしているんだ
不一致の数 雰囲気を察す
重心も廻る 溜飲も下がる
次の朝に書く詩の中でも
無心のまま過ぎるのかな
漫然と雲は流れ 世は情け
人は栄えても弱さだけ
口を開かすよう死と抗え
心は糧 今ここで羽ばたけ
チクタクと不自然に泣く 鳴く 啼く
喉の奥で閑散と腐るよ
ゆりかごの苦悩も墓場では
肥やしにもならないようだ
時間だね
今日も塞いでいよう
きっと救われるだろうから
時間だね
今日も呻いていよう
ユートピアに雨が降り出していた
チクタクと不可思議に泣く 鳴く 啼く
舌の上は判然と乾くよ
ゆりかごの思考を墓場まで
運ぶため針を回すんだ
時間だね
今日を憂いていよう
ユートピアの雨は止まない
時間だね
今日を創っていよう
明日の僕が僕であるように
- 作詞者
いはくし
- 作曲者
いはくし
- マスタリングエンジニア
夜風見

いはくし の“胎内時計”を
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